研究課題/領域番号 |
02402017
|
研究種目 |
一般研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
層位・古生物学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿部 勝巳 東京大学, 理学部, 助手 (80151091)
|
研究分担者 |
加瀬 友喜 国立科学博物館, 地学研究部, 研究官 (20124183)
塚越 哲 東京大学, 総合研究資料館, 助手 (90212050)
大路 樹生 東京大学, 理学部, 助手 (50160487)
吉田 鎮男 東京大学, 理学部, 助教授 (50011656)
速水 格 東京大学, 理学部, 教授 (80037184)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1991
|
キーワード | 生きた化石 / 進化 / 古生物学 / オスムガイ類 / 二枚貝類 / 有柄ウミユリ類 / 介形虫類 |
研究概要 |
1.阿部と塚越は7月にオ-ストラリアを訪れ、「生きた化石」介形虫マナワの生体発見者であるスワンソン博士と議論した。阿部は古生代から現世に至るミオドコ-パの背甲と付属肢の機能形態を考察し、塚越はポドコ-パにも体節構造のあることを見出して介形虫全般の進化を考察しつつある。2.速水と加瀬は沖縄の海底洞窟に、白亜紀〜古第三紀にテチス海に繁栄したピクノドンテが隠生化して生き残っていることを発見した。解剖学的検討を加えた後、これが何故長い地質時代にわたって生き延びてきたかを、固着生物の間での被覆に関する競争と、補食圧という2つの観点から考察した。3.大路は有柄ウミユリ類を駿河湾から採集し、飼育実験を行なった。従来固着性といわれたトリノアシが頻繁に水槽内でその位置を変えること、腕の自切の後で強力な再生能力をあらわし、失われた部分の補修を行なうことなどが明らかになった。4.吉田は南太平洋海域のプレ-ト運動を解析して、この海域に生息するさまざまな分類群の「生きた化石」が現在示す分布パタンが、地質時代を通してどのように成立してきたかという考察に供した。5.棚部と塚原は初年度に、フィリピンおよびフィジ-から採集したオウムガイとパラオから採集したパラオオウムガイの集団標本を比較形態学的に調べ、これらが同一種である可能性を指摘した。また人工環境下で発生の進んだパラオオウムガイの形態形成中期の胚を組織学的に調べ、その発生学的系統進化学的意義を考察した。 2年間にわたった本研究で、南太平洋域に生息する「生きた化石」に関する情報量がかなり増大した。今後は、生物が長い地質学的時間を通してあまり形態を変えることなく生き延びてきた過程の詳細に、分子古生物学的側面からの考察を加えていく予定である。
|