研究課題/領域番号 |
02402018
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久城 育夫 東京大学, 理学部, 教授 (80011526)
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研究分担者 |
松本 良 東京大学, 理学部, 助教授 (40011762)
島崎 英彦 東京大学, 理学部, 教授 (50013751)
吉田 鎮男 東京大学, 理学部, 助教授 (50011656)
高橋 裕子 (永原 裕子) 東京大学, 理学部, 助教授 (80172550)
鳥海 光弘 東京大学, 理学部, 教授 (10013757)
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キーワード | 島弧の火山 / 形成史 / マントル / 部分融解 / マグマの組成 |
研究概要 |
当該年度は主として、島弧の火山の形成およびマントルの融解により生じるマグマの組成の決定の研究を行い成果をあげた。島弧の火山の形成の研究では、箱根火山、赤城火山、八ケ岳火山、および壱岐島の火山等につき、溶岩の噴出順序および組成変化について詳細な研究が行われ、これらの火山形成の機構について考察が為された。特に、箱根火山と壱岐島の火山については、K-Ar法により多数の溶岩の噴出年代が精度良く測定され、マグマの組成変化や供給量が絶対時間スケールで詳細に議論出来るようになった。これは、これらの火山の形成機構のみでなき他の火山の下のマグマ溜りの形成と進化の定量的研究にとっても重要である。 マントルの融解については、カンラン岩試料にダイアモンド粒の薄層を挟む新しい実験方法を開発し、その方法を用いてカンラン岩の部分融解により生じる液の組成を広い圧力範囲(0.8-3.0GPa)で決定した。この新しい方法では、これまでのような急令に時の共存する結晶の成長による液の組成変化が防げる為、液の組成が精度良く決定できる。この方法を用いて3種類の組成の異なるカンラン岩の融解実験を行った。その結果、比較的アルカリ元素等を多く含むカンラン岩の部分融解実験では、0.8-1.0GPAの圧力範囲において初生的海嶺玄武岩に近い液が生じること、小量の部分融解では約1.0GPA以上の圧力でアルカリ玄武岩質マグマが生じること、カンラン岩のソリダスに沿って生じる液のシリカの量が圧力の上昇により極めて顕著にまた規則的に減少すること等が確認された。また、この新しい方法により、水の存在下におけるカラン岩の部分融解の予察的な実験も行い、より精度の良い液の組成が決定出来ることを確認した。この実験を続行させることにより島弧マグマの成因の解明が一段と進むことが期待される。
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