研究課題/領域番号 |
02402018
|
研究種目 |
一般研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
鉱物学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久城 育夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011526)
|
研究分担者 |
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30143366)
松本 良 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40011762)
高橋 裕子 (永原 裕子) 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80172550)
小澤 一仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90160853)
鳥海 光弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10013757)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1993
|
キーワード | 島弧 / 地殻 / マントル / マグマ / 部分融解 / 捕獲岩 / 微量元素 / カンラン岩 |
研究概要 |
本課題研究においては、島弧の地殻の進化を地殻物質の岩石学的・地球化学的研究およびマントル物質の実験岩石学的研究を主要な研究として行った。火山岩中の捕獲岩から推定される日本列島の下部地殻物質は、主としてガブロおよびその変成岩であるグラニュライトや角閃岩である。これらの事実から、島弧の地殻の原物質はマントルからマフィックマグマとして供給されると考えられる。マントルにおけるマグマの形成過程とマグマの組成についてはこれまで多くの実験が為されているが、依然として信頼出来る結果が得られていない。本研究において、ダイアモンド粒を用いた新しい方法を開発し、それを用いて初めて信頼出来るマグマの組成を10-30キロバールの圧力範囲で決定した。また、マグマが発生し分離する過程(分別融解過程)の実験を初めて行い、その過程による液および固相の組成変化を明かにした。さらに、少量(0.2-1重量%)の水が存在する場合のマントルカンラン岩の融解により生じるマグマの生成温度および組成を決定し、その生成温度に及ぼす効果が極めて大きいことを明かにした。これらの実験結果から得られた島弧のマントルで生じるマグマの組成と、火山岩中の捕獲岩および地震波から得られる地殻構造に基づく島弧地殻の組成を比較した結果、マントルから供給されるマグマは島弧の地殻よりマフィックであることが明かになった。このことは、島弧の地殻が形成する過程で、マントルで生じたマグマから超マフィックな物質が取り去られることを意味している。おそらく、島弧の地殻の下には超マフィックな集積岩が生じていることが予想される。さらに、東北日本弧の地殻物質とマントル物質の主要および微量元素の検討から、少なくとも東北日本弧下のマントルウェッジは、現在の東北日本弧の地殻を生じ得ないことが明かになった。このことから、島弧の下のマントルウェッジにおいては、新しい物質を供給するような対流が存在することが示唆される。
|