研究課題/領域番号 |
02402019
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
高橋 栄一 東京工業大学, 理学部, 助教授 (40144779)
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研究分担者 |
中澤 清 東京工業大学, 理学部, 教授 (10025455)
田中 秀文 東京工業大学, 理学部, 助手 (80108191)
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キーワード | 地球 / 月 / 隕石 / マグマオーシャン / ペリドタイト / 惑星 / 超高圧 / 高温高圧実験 |
研究概要 |
研究代表者らは地球形成過程の鍵を握ると考えられる上部マントルのペリドタイトの融解実験を世界に先駆けて行い、1気圧から25GPaまでの相図を1990年に発表した。この相図はその後のマグマオーシャンの固化の動的過程に関するシミュレーションや各種マグマの発生の定量的モデル化の出発点となった。その後、世界各国の研究者によって追実験が行われ、いくつかの問題点が明らかとなった。そこで温度、圧力の決定精度を改良しつつ17GPaまでの再実験を行った。新たに求めたペリドタイト融解の相図ではメルトと共存する全ての固相の化学組成とフラクションを決定した。新たな相図によって、地球マグマオーシャンの深さとマグマオーシャンの表面温度の関係が明らかとなった。表面温度が1450℃程度に上昇すると地球マグマオーシャンの深さは200km以浅から500km以上へと急激に深くなることが判った。一方、地球マントル内のポテンシャル温度(PMT)とマグマが発生する深さ、マグマの化学組成との関係も明確に理解できるようになった。それによるとPMT2000℃を境としてそれより高温側では深さ400km以深のマントル遷移層で融解が起こり、Alに不足したタイプのコマチアイトマグマを生ずる。PMTが2000℃を下回ると融解する領域は深さ300km以浅の上部マントルに限られ、生ずるマグマの組成もAlに富むコマチアイトマグマとなる。これらの結果を踏まえて地球形成以来現在までの地球の熱的進化を説明するモデルを構築した。これらの研究成果は1991年の8月の国際地球物理学会(ウイーン)、1992年8月の国際地質学会(京都)、1993年12月のアメリカ地球物理学会(サンフランシスコ)、1994年5月の玄武岩質火成作用に関する国際会議(フランス)でそれぞれ招待講演の形で発表された。
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