研究概要 |
SiF_4,H_2混合ガスのマイクロ波プラズマによる分解により生成する前駆体、SiHnFm(n+m≦3)、を用いたSi網目形成過程を自動エリプソメトリーを用いて、「その場観察」を行った。SiH_4/H_2混合比、全圧、その他気相反応を支配する製膜条件、あるいは、基板温度および用いる基板材料、及びその表面処理など、構造形成に影響を与える因子をパラメーターとし、膜形成過程をエリプソメトリーパラメータ(Δ、Ψ)を連続的に実測し、そのトラジェクトリーと、Effctive Mass Approximationを用いたシミュレーションを実行し、その形状形成過程のナノメータ単位での把握に成功した。これによると、前駆体の種類により、基板への付着後に誘起される構造形成反応が全く異なり、SiF_2Hでは基板の形状に敏感な表面反応により結晶粒径の成長が優先し、SiFH_2では、核生成が優先することから基板の形状に依らず微結晶が生成する。Si(100)基板上でのエピタキシャル成長時においても、50〜100A厚程度の基板表面に残る汚れに起因するアモルファス相を含む構造ゆらぎの多い層が形成され、それ以上の成長では規則性の高い単結晶構造が形成されることが観測され、この挙動はTEM、RHEED,Ramanなどの構造解析結果とも一致した。また、同一条件にて、アモルファス構造を有すSiO_2上に膜堆積を行うと、100A厚程度までは島状にアモルファスと微結晶の混在した層が形成され、それが合体すると徐々に結晶相が優先的に成長することが直接実時間で観察された。これらの結果から、ガラス基板上緻密で粒径の大きい高品質poly-Si膜を作製する方法として100A厚程度の超薄膜層の堆積とその表面を原子状水素処理を繰返す“layer-by-layer"法を考案し実施したところ、320℃程度の低温で残存水素量<0.5at%、欠陥濃度<10^<15>Spins/cm^3、粒径>200nmの高品質poly-Si膜を得ることが出来た。
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