研究課題/領域番号 |
02402023
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梶 昭次郎 東京大学, 工学部, 教授 (80013704)
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研究分担者 |
渡辺 紀徳 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10201211)
花村 庸治 東京大学, 工学部, 助教授 (00013665)
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キーワード | 翼列フラッタ / 超音速翼列 / 不始動(アンスタ-ト) / 離脱衝撃波 / ファンエンジン / 曲げ振動 |
研究概要 |
本年度は昨年度完成させた遷音速風洞試験部と加振装置を用い、まず単独翼が曲げ振動を行う際、それに伴って離脱衝撃波や付着衝撃波が変動する様子を光学的に捕捉した。計測には購入した高速度カメラとフィルム画像解析装置を用い、翼振動に伴う衝撃波振動の振幅や位相遅れを定量的に把握した。その結果、翼例の設計点に近い流入マッハ数M_1=1.4の場合、斜衝撃波は翼の前縁に付着して移動し、衝撃波に沿う変動の波は弱いことが判明した。これに対し、設計点よりも低い流入マッハ数M_1=1.15の場合、前縁から翼弦長の20%程度離れた位置に垂直衝撃波に近い離脱衝撃波が発生し、極めて非線形性の強い動きをすること、また、変動の振幅も相対的に大きいこと等が判明した。遷音速流れの領域では風洞壁境界層の影響や、翼の挿入によるブロッケ-ジの影響が強いため、上下壁および側壁に境界層吸込み部を装着して流路特性を改善し、単独翼並びに翼列翼の実験を進めている。 一方、解析的には離脱衝撃波を流れに垂直な衝撃波で近似し、翼列をセミアクチュエ-タディスクで模擬する超音速不始動フラッタのモデルを構築し、翼に作用する振動空気力を算出した。その結果、流入マッハ数が高い場合は安定であっても、低下して遷音速域に入るとかなり広い無次元振動数の範囲で不安定となりフラッタが発生することが判明した。また、離脱衝撃波と翼前縁との距離が小さくなるほどフラッタの危険性が増すことが確かめられた。翼列前縁の流れが全域衝撃後方の亜音速流の場合や、全域衝撃波前方の超音速流の場合にはフラッタが起こらないか、起こったとしても極く無次元振動数の低い範囲であり、超音速不始動フラッタには離脱衝撃波の存在が決定的に重要であることが明らかとなった。
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