研究概要 |
本研究の目的は、従来タブ-とされてきた半導体と金属を共有する素子構造を実現し、これにより超高密度・超高速LSIを実現することである。そのために(1)Si,SiO_2上1の高品質金属薄膜の成長,(2)ダメ-ジ,汚染フリ-の超微細加工技術(3)シリコンと金属の理想的な接合の形成等に関する研究を本年度は行った。(1)に関しては、2周波数励起低エネルギイオン照射技術を用い,Ta及びTi薄膜の成長実験を行った。表面活性化のためのイオン照射のエネルギを最適化することにより、非常に平担な表面を有し,且つ結晶性の優れた金属薄膜が得られた。また、Ar/H_2を用いた低エネルギイオン照射表面クリ-ニングプロセスは,ダメ-ジを生じずに表面のカ-ボンを有効に除去できることが分った。このクリ-ニングプロセスにより、金属表面の平担度は更らに向上した。(2)に関しては、従来型のRIE装置を用いて,照射エネルギやイオンフラックスを実験的に抽出する手法を開発し,これによりダメ-ジや汚染発生のメカニズムを明らかにした。この結果に基き,2周波数励起RIEプロセスを開発し,ダメ-ジや汚染がなく,選択比の非常に大きな低エネルギRIE技術を開発した。また,RIEのプロセス雰囲気を汚染するフォトレジストパタ-ンからの脱ガスをおさえる,アウトガスフリ-レジストプロセスの開発にも成功した。(3)については,一切の熱処理を施すことなしに,Al/Si,Ti/Si,Cu/Si等の金属/半導体接合で,理論通りの理想的な特性を得ることができた。これは,超高純度窒素ガスを用いたN_2シ-ルプロセスにより実現した。以上の様に、新しいデバイス構造実現のための基礎プロセス技術をほぼ確立できた。現在、回路の設計、マスクの設計を進めており、開発した技術を用いて試作を行う計画である。
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