研究概要 |
原子間相互作用ポテンシヤルとして,中心力相互作用ポテンシヤル(12,6)ポテンシヤル及び(8,4)ポテンシヤルを用いた結晶格子モデルにおけるマルテンサイト核生成過程のシミュレ-ションを行うと共に,半連続体モデルを用いたマルテンサイト核生成過程のシミュレ-ションにも着手し,原子的尺度から巨視的尺度にわたってマルテンサイト核生成過程の全体像をつかむように注意している。この両方の計算機シミュレ-ションにおいて,本補助金で購入した磁気ディスクは,計算途中経過の貯蔵よりも,現在の所,パラメ-タ-を変えた計算結果を集積した上で比較検討し,例えば界面條件の影響を調べる上で不可欠の役割をはたしている。現在までの所,結晶のサイズ云いかえれば界面條件がマルテンサイト核生成に予想外に大きな役割をはたすらしい事が明らかになった。半連続体モデルを用いた研究では,少くとも二次元モデルの範囲では,特別の格子欠陥などがなくても,局在したマルテンサイト核が准安定状態として存在することが明らかになった。 X線回折によるマルテンサイト核生成過程の研究では,マルテンサイト核生成過程直前の結晶状態の研究に重点を置き,温度制御装置及びゴニオメ-タ-の整備を終えた。この装置を用いて,ナトリウム単結晶のブラッグ点付近の高分解能強度分布の温度依存性測定を行なった。その結果,本測定直前に行われたInーTl結晶と共に,ナトリウム単結晶においても,今まで測定された報告がない異常がマルテンサイト核生成に先立って起っていることが,ごく最近明らかになった。現在この事実がマルテンサイト核生成過程のどの部分に関与しているかを確認するための実験を行なっている。
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