研究概要 |
事故に際して受動的原理のみにより炉停止及び必要な熱除去が行われ,更に損傷が生じていても放出放射能の量が制限され被害を与えないような,高温ガス炉(被覆燃料粒子を使った原子炉ということで高温ガス冷却の炉にこだわらない)を基礎とする炉概念を構築するため,以下の研究を行っている. 1.反応度事故及び冷却能力喪失事故に関する研究では,(1)定常運転時の核計算コ-ドシステムを整備した.(2)定常運転時の熱解析コ-ドシステムを作成した.但し冷却材の2次元流れの計算に関してまだ改良の余地がある.(3)これらのコ-ドシステムを使って事故の初期条件を求めた.(4)反応度事故解析用コ-ドを作成した.(5)冷却能力喪失事故解析用コ-ドを作成した.いずれの事故解析コ-ドも今後更に検討が必要である. 2.空気・水蒸気混入事故に関して,そのメカニズムを明らかにするべく実験的研究を行っている.即ち,(1)最高1500℃まで加熱可能な高温の炭素系模擬燃料体にHeを流し,更に酸素,窒素,水蒸気を微量に混合させた場合に発生するCO_2,COの比率を調べる実験装置を製作した.(2)この装置を使った予備実験を行っている. 3.高温ガス炉用セラミックスの中性子照射影響に関する研究では次の予備実験を行った.(1)950℃の真空中及び1300℃の大気中で常温焼結SiCの酸化速度を測定し,中性子照射により酸化反応が促進される傾向を見いだした.(2)SiCの機械的強度に及ぼす影響を測定するために,微小試験片の寸法効果を明らかにした. 4.超安全炉の炉概念については,ヒ-トパイプ冷却方式の小型原子炉に関して,事故時の挙動や炉心寿命等の検討を行っている.具体的には,(1)諸外国で行われているこの方面の研究のサ-ベイを行った.(2)1.で作成したコ-ドシステムをこの研究にも使用できるように改良した.(3)予備計算を行った.
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