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1992 年度 実績報告書

有機重ヘテロ元素化合物のカメレオン特性の体系的研究

研究課題

研究課題/領域番号 02403009
研究機関京都大学

研究代表者

鈴木 仁美  京都大学, 理学部, 教授 (50025342)

キーワード有機ビスマス化合物 / キラリティー / 隣接基効果 / テルル化ナトリウム / カップリング / アジド / 還元 / トリアゾール
研究概要

ビスマスやテルルに代表される重いヘテロ元素は金属と非金属の接点に位置しており、これらから導かれる化合物は有機反応において、より軽い同族のヘテロ元素とは異なる特殊な挙動を示すことが多く、特に官能基選択性の高い反応を穏やかな条件下で行ないやすいという特徴を有している。本年度は配位性官能基をもつトリアリールビスムチンやビスミン誘導体、有機ビスマスジアジドおよびテルル化ナトリウムについてその化学性を検討し、多くの有意義な成果を得た。両オルト位にアルコキシ基をもつトリアリールビスムチンは異常に高い求核性を有し、α-水素をもつカルボン酸のみを室温でアルコールやアミンと速やかに縮合させるが、この特異な選択性がケテンの発生に由来することを明らかにした。また隣接位にスルホン基をもつビスムチンではスルホニル酸素-ビスマス間の相互作用による特殊な安定化と立体配置の固定化が起こり、ビスマス原子上にキラリティーの発現がみられることを発見、この原理を利用して最も重いキラル中心をもつトリアリールビスムチンを安定な分子種として合成することに成功した。この安定化要因に基いた造影剤としての可能性をもつ、非イオン系水溶性ビスムチンの合成アプローチも有望な展開を期している。極性非プロトン溶媒中でテルルアニオン種が反応条件の微妙な相違に応じてヒドリドまたは電子ドナーとして多彩な反応性を示すことに着目し、スルホニルおよびカルボニル化合物の還元または還元二量化、スルホキシドの還元開裂、ニトリルの三量化によるデアザプリンの生成などの新しいタイプの反応の開発に成功した。スルホキシドの還元開裂を利用した新規な不斉合成法を現在検討中である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] H.Suzuki and T.Murafuji: "A New General Method for the Synthesis of Chiral Triarylbismuthines based on the Intramolecular Coordination by a Sulfonyl Group" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1143-1144 (1992)

  • [文献書誌] H.Suzuki and T.Nakamura: "Sodium Telluride in N-Methyl-2-pyrrolidone.Reduction of Aromatic Carbonyl Compounds to Alcohols and Formation of Pyrro[2,3-d]pyrimidines(7-Deaza-9H-purines)from Aromatic Nitriles" J.Org.Chem.58. 241-244 (1993)

  • [文献書誌] Y.Matano,M.Kinoshita and H.suzuki: "Synthesis and Reactions of Some Crowded Triorganylbismuthines" Bull.Chem.Soc.Jpn.65. 3504-3506 (1992)

  • [文献書誌] H.Suzuki,T.Murafuji and N.Azuma: "Synthesis and First X-ray Structure Analysis of a Stabilized Chiral Chlobismuthine.Fixation of Molecular Geometry Induced by the Intramolecular Coordination of a Sulfonyl Group" J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. (1993)

  • [文献書誌] H.Suzuki,C.Nakaya and Y.Matano: "Photochemical Azido Ligand Transfer Reaction of a Triarylbismuth Diazede with Alkynes" Tetrahedron Lett.34. (1993)

  • [文献書誌] T.Ogawa,T.Hikasa,T.Ikegami,N.Ono and H.Suzuki: "Electron-rich Triarylbismuthines as Selective Condensation Reagent under Neutral Conditions.Condensation of Aliphatic Carboxylic Acids with Amines and Alcohols" Chem.Lett.(1993)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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