• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1990 年度 実績報告書

金属錯体による酸素分子の活性化とそれに関与するdー軌道

研究課題

研究課題/領域番号 02403012
研究機関山形大学

研究代表者

西田 雄三  山形大学, 理学部, 助教授 (10037244)

キーワード酸素分子の活性化 / 金属錯体 / dー軌道と酵素反応
研究概要

今回のテ-マは、金属イオンによるO_2分子の活性化に金属イオンのdー軌道がどのように関与しているかを明きらかにすることであるが、今年度の研究より以下のことがわかった。
(1)ス-パ-オキサイドアニオンと各種銅(II),オキソバナジュム(IV)、鉄(III)およびマンガン(II)錯体との反応を〓V,ESRスペクトル法を用いて調べた。その結果、O_2^-イオンとの反応においては金属錯体の構造的要因が重要な因子となっていることがわかった。一例として鉄(III)錯体について述べてみよう。鉄(III)錯体として四座配位シッフ塩基を含む系([Fe(aceu)Cl]など)と、三脚型配位子からなる系(Fe(n+b)Cl3など)を用いた。Fe(aceu)Clは、O_2^-イオンと反応して、Fe(II)状態に還元されるが、ここで生じた鉄(II)錯体はこれ以上O_2^-イオンとは反応しない。一方,Fe(n+b)Cl3は、O_2^-イオンと反応して、Fe(II)へ還元されるが、ここで生成したFe(II)種は更にO_2^-イオンと反応して、高いSODー活性を示す。この結果は単にこれらの錯体の電気化学的性質からでは説明できないものであり、Fe(II)イオンとO_2^ーイオンとの反応によってFe(III)ーパ-オキサイド付加体形成が可能な錯体にのみSODー活性が見られることがわかった。このように、O_2^ーイオンの活性化には特殊なdー軌道の存在が必須であることが明きらかになった。
(2)金属酵素の反応には、特異的な錯体構造を有する時のみにその触媒活性が見られることが多い。ピロカテカ-ゼもその一例に入るが、この反応メカニズムは未だ不明である。我々はこの系についてモデル錯体を合成し、それらのESRスペクトルを入念に検討することによって、この酵素中の非ヘム鉄が三角両錐型というめずらしい構造をすることがO_2分子の活性化に必須であることをはじめて明きらかにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Yuzo Nishida,K.Yamada,A.Furuhashi: "ESR spectra and Reactivity towards Catechol of Iron(III) Complexes with 2ー(2ーBenzimidazolyl)phenol and its Benzoxazole Derivative" Z.Naturforsch.,. 45B. 1433-1436 (1990)

  • [文献書誌] Y.Nishida,K.Yamada: "Lipoxygenaseーlike Function of Some Binuclear Iron(III) Complexes" J.Chem.Soc.Dalton Trans.3639-3641 (1990)

  • [文献書誌] Y.Nishida,K.Unoura,I.Watanabe,T.Yokomizo,K.Kato: "Colored Species Formation between Mononuclear Copper(II) Complex and Superoxide Anion" Inorg.Chim.Acta.

  • [文献書誌] Y.Nishida,I.Watanabe,K.Unoura: "Determination of Superoxide Anion by NBT Method in Orgnaic Solvent" J.Acti.Oxyg.Free radicals.

  • [文献書誌] Y.Nishida,I.Watanabe,K.Unoura: "Reaction between Superoxide Anion and several Oxovanadium(IV) Compounds" Inorg.Chem.,.

  • [文献書誌] Y.Nishida,M.Nasu: "Highーcatalase like function of binuclear iron(III) Complex with N,N,N',N'ーtetrakis(2ーpyridylmethyl)ー2ーhydroxyー1,3ーdiaminopropane" Inorg.Chem.,.

URL: 

公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi