研究課題/領域番号 |
02403013
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
海津 洋行 東京工業大学, 理学部, 教授 (20016140)
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研究分担者 |
大野 修 東京工業大学, 理学部, 助手 (30185342)
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キーワード | ランタンポルフィリン二量体 / ランタンフタロシアニン二量体 / 電荷移動吸収帯 / 近赤外部吸収帯 / ^2A_2基底状態 / ポルフィリン二量体カチオンラジカル |
研究概要 |
希土類金属ポルフィリン一量体(ポルフィリン二量体)及び希土類金属フタロシアニン二量体(フタロシアニン一量体)の基底状態と低い励起電子状態について分光学的手法を用いて明らかにした。 これら錯体は二つの大環状芳香環が希土類金属を中心として面と面を向かい合わせた構造をとっており、π軌道上に一個の正孔を持ったカチオンラジカルである。 ポルフィリン二量体のESRスペクトルは主に中心金属のランタンの超微細構造によっており、ランタンの超微細結合定数が温度によって大きく変化することを見いだした。超微細結合定数の温度変化及び置換基を変えたポルフィリン二量体の超微細結合定数の温度変化から、(1)これらポルフィリン二量体ラジカルの正孔は二つのポルフィリン環に非局在していること、(2)その基底状態は単量体の金属ポルフィリンカチオンラジカルとは異なり、ポルフィリンの置換基によらず ^2A_2であること、(3)〜700cm^<-1>高エネルギ-に ^2A_1状態が存在することを明らかにした。これは面と面を向かい合わせた二つのポルフィリンπ分子軌道のa_<1u>軌道の重なりがa_<2u>軌道による重なりより大きいことによっている。この基底状態はフタロシアニン二量体カチオンラジカルと同じである。 ポルフィリン二量体は近赤外部に新しい吸収帯をしめす。この吸収帯は二量体カチオンラジカルに特有のもので、近赤外領域(5000cm^<-1>〜7000cm^<-1>)に現れる。本研究によってこの吸収帯は、 ^2A_2- ^2B_1の電荷移動遷移であると帰属することができた。
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