研究概要 |
本研究は、金属や半導体に比べて組成的にも構造的にも複雑なセラミックスの多様性を、原子レベルでの構造設計とそれを実現するプロセスの開発という観点から捉えて問題を整理し、波動力学の支配する新しいセラミックス(ス-パ-ファインセラミックス)を開拓することを目的として研究を進めた。その結果、以下のことを明らかにした。 (1)原子層レベルで制御したセラミックスヘテロエピタキシャル薄膜を作成する新しい方法として、レ-ザ-アブレ-ションを超高真空下に行うレ-ザ-MBE法を考え,独自に装置を設計・製作した。これを用い、種々のセラミックスのエピタキシャル成長過程を調べた。従来困難と考えられていた、セラミックスの2次元層状成長にもとづくRHEED強度振動を、CeO_2/Si(100),SrTiO_3/SrTiO_3(001),(Ca,Sr)CuO_2/SrTiO_3(001)のエピタキシャル成長において観察することに成功した。その振動周期の長さから、イオン結合性の強い酸化物においては、成長単位として電荷中性を保持できる最小構成ユニットが考えられた。 (2)レ-ザ-MBE法により、成膜過程をRHEEDでその場観察しながら、SrCuO_2/SrTiO_3,SrVO_3/SrTiO_3,Nd_2O_3/CeO_2の各セラミックス人工超格子をほぼ設計通りに作製することができた。周期構造は,本研究備品である高分解能走査電子顕微鏡で確認することができた。またSrCuO_2/SrTiO_3超格子において、各層厚を電子のコヒ-レンス長程度にした時,電気的挙動が,金属的なものから半導体的なものに変化することを見い出した。 (3)光MOCVD用原料の高純度化と光吸収特性評価を行い,セラミックスの低温合成(〈500℃)のための薄膜化要素技術の検討を行った。低圧水銀ランプ紫外光照射が、Bi系超伝導体に関連する酸化物薄膜の低温合成に有効であることを実証した。
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