研究概要 |
エステル基とピリジル基をもつ一達の非対称ジオレフィン化合物のエステル残基を変えた場合のこれら結晶のトポケミカル反応性を検討した。その結果,多様なトポケミカル挙動を確認するとともに,結晶構造解析により,これらのすべての挙動を合理的に説明することができた。 1)Alkyl αーcyanoー4ー[2ー(4ーpyridyl)ethenyl]cinnamate結晶に光照射すると,Meーエステルからはβー型homo付加ダイマ-をへてオリゴマ-が,Etーエステルからはαー型homo付加ポリマ-が,また,Prーエステルからはαー型homo付加ダイマ-が生成する。また,中間体ダイマ-(EtーおよびPrーエステル)を再結晶すると,溶媒を取込んだ数種の光重合性の異なる包接体結晶がえられる。EtーおよびPrーエステルの結晶構造は酷似しているが,それらからえられる混晶はβー型hetero配列をとり,光を照射すると定量的に[2.2]パラシクロファン誘導体をあたえる。 2)Alkyl4ー[2ー(4ーpyridyl)etheyl]cinnamateについては,光照射によりMeーエステル結晶は線状ポリマ-が,Etーエステル結晶キラル結晶)は光学活性ダイマ-(e.e.>90%)を,Prーエステル結晶は2種類のダイマ-をあたえる。ここで,Etーエステルでは,再結晶時に(+)または(-)結晶をseedingすると,一方のキラル結晶が大量にえられる(“Amplification of Asymーmetry")。Prーエステル結晶内には,2種のダイマ-(αーおよびβー型)をあたえるような分子配列が存在し,光照射すると結晶構造から予想される2種のダイマ-がえられる。 3)Alkyl αーcyanoー4ー[2ー(2ーpyridyl)ethenyl]cinnamate結晶からは“Topoーchemical Induction"により反応が進行し,MeーおよびEtーエステルからは主鎖のシクロブタン環がそれぞれ(1S,2R,3S,4S)(1R,2S,3R,4R)および2(1S,2R,3S,4S)2(1R,2S,3R,4R)の立体配置からなるポリマ-〜オリゴマ-が生成する。
|