研究概要 |
1.DNAの合成開始を指令する領域は本質的に1.DNA巻きもどしタンパク質結合部位,2.DNA合成酵素が結合することに先立って認識されるRNA合成酵素(RNAプライマ-ゼ)結合部位からなっている。1.の部位はレプリコンの種類によって特徴的であるが、2.の部位は多くのレプリコンでよく保存されている。この保存領域の特性を解明するため、G4のプライマ-ゼ結合部位を遺伝子工学的に種々改変し、活性を明らかにした。すなわち、G4のDNA合成開始領域のステム・ル-プIからの5'ーCTGー3'配列までの距離が重要であるとともに、この5'ーCTGー3'配列もまた必須であることが明らかとなった。 2.遺伝子が発現する際に必須としている領域、すなわちプロモ-タ-領域は構造遺伝子の上流に位置し、RNA合成酵素の結合を可能にしているが、さらにその上流に、しばしばCRP結合部位が存在していて遺伝子発現を調節している。大腸菌の<glpR>___ーー<glpD>___ー領域の遺伝子には<glpR>___ー,<glpG>___ー,<glpE>___ー,及び<glpD>___ーの十種類が存在していることが確認された。これらの構造を明らかにするとともに、<glpD>___ー遺伝子の発現がcAMPーCRPによる正の調節を受けていることが解明された。<glpD>___ー及び<glpE>___ー遺伝子は互に逆向きに転写され、それぞれのプロモ-タ-の上流にCRP結合部位が存在した。このCRP結合部位により<glpD>___ー遺伝子は上の調節を受けたが、<glpE>___ー遺伝子は未だどのような遺伝子をコ-ドしているか不明であるため、プロモ-タ-領域を単離してlac融合用ベクタ-に挿入し、<glpD>___ーー<lac>___ーと<glpE>___ーー<lac>___ー融合遺伝子を作製した。これらの融合遺伝子は共にcAMPーCRPにより正の調節を受けた。またCRP結合部位5'ーTGTGAー3'を部位特異的突然変異により変異株を作製してcAMPーCRPにより同時に調節を受けるか否かを調べたところ、2つの遺伝子が同時に発現調節を受けることが明らかとなった。
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