研究課題/領域番号 |
02404003
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
町田 泰則 名古屋大学, 理学部, 教授 (80175596)
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研究分担者 |
丹羽 康夫 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助見 (00222191)
吉岡 泰 名古屋大学, 理学部, 助手 (60202397)
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キーワード | アグロバクテリウム / TーDNA / クラウンゴ-ル腫瘍 / 植物 / Tiプラスミド / Vir遺伝子 |
研究概要 |
本研究は、クラウンゴ-ル腫瘍形成の初期過程を解明することを目的としている。我々は四つの側面からこの問題にアプロ-チしている。つまり、(1)植物シグナルのAgrobacterium細胞内への伝達機構の解明、(2)TーDNAの植物細胞への移動機構の解析、(3)Agrobacteriumの感染に応答して発現する遺伝子の探索、(4)TーDNAの植物染色体への組み込み機構の研究である。本年度は、以下のような成果が得られた。 (1)TーDNAの移動は、バクテリアが植物に感染することにより誘導的に起こる。このDNAの移動は、植物が合成するフェノ-ル物質により発現が誘導されるバクテリアのvir遺伝子の産物により触媒される。我々は、すでにこのようなフェノ-ル物質によるvir遺伝子の誘導的発現が、グルコ-スのような特定の単糖により著しく促進されることを明らかにしている。今年度は、フェノ-ル物質に対するレセプタ-であるVirAタンパク質がこの促進に関与していること、またそこに相互作用するタンパク質遺伝子を見いだした。(2)TーDNAの移動のプロセスを解明するための新しい方法を開発した。この方法では、イントロンを含むGUS(βグルクロニダ-ゼ)(IGUS)遺伝子を持つTーDNAを利用している。つまり、この(IGUS)TーDNAは植物細胞核に移行したときのみ、GUS遺伝子が発見するので、GUS活性を指標にして、TーDNAの植物細胞核への移行を定量できる。この方法により、vir遺伝子のうちvirBとvirD4遺伝子が移動に必須であること、virE2遺伝子は必須ではないが、効率のよい移動には必要であることがわかった。(3)まだ、Agrobacteriumにより発現が誘導される遺伝子は分離されていない。(4)TーDNAの組み込みに、TーDNA上の配列と植物DNAの配列との相同性が関係あると思われる結果が得られた。また、昨年度、TーDNA組み込みの標的部位の近傍には、共通構造をしたある種の反復配列で存在していることを見いだしたが、本年度の解析により、それがレトロポソンの一種であるSINEであることがわかった。 以上の研究を遂行するために、予定どうりの設備・備品を購入した。
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