研究概要 |
1)Candida albricansの酵母形増殖における細胞外プロテア-ゼの分泌に関する生化学的解析。 前年度において、酵素分泌誘導細胞には、細胞外プロテア-ゼ(43kD)と、その前駆体とみられる(45kD)が共に見出されることを示した。この確認のために、酵素合成誘導条件下で ^<35>Sを用いたパルスーチェイス実験を行った。その結果,45kDの前駆体が合成され43KDになって分泌されることが示された。1分パルスで,菌体外に酵素が検出されるまでに3分,ラベル前駆体の大部分が分泌されるのに10分を要することが分った。 2)酵素誘導に伴う酵母細胞の微細構造変化の観察。 前年度において、急速凍結置換法によって酵素誘導細胞内には、原形質膜に近く、多数の顆粒が抗プロテア-ゼ抗体による反応を示した。この反応の特異性に関してさらに厳密な対照実験を行った所、次のような問題が生じてきた。すなわち、非誘導細胞内にもこの顆菌が出現し,免疫電顕でも反応陽性であった。また、糖類に対する交差反応の可能性を調べた所、種々の糖類との競合試験でグリコ-ゲンによって抗体の反応が阻害された。そこで、従来の樹脂包埋切片でなく,凍結超伝切片について、抗体による反応を行った。そして、非常に少数であるが、抗体特異的反応を細胞質に認めることができた。 3)生体細胞の観察。 Zeiss倒立型顕微鏡を用いた、生の細胞の連続観察法を確立し,細胞分裂におけるオルガネラの動態の観察を行なった。またロ-ダミン標識ファロイジン染色を、生の細胞に電子穿孔法を用いて行う方法の検討を開始した。
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