研究概要 |
バフンウニ卵ゼリ-中の精子先体反応誘起の主物質であるフコ-ス硫酸タンパク質複合体(FSG)を2ーメルカプトエタノ-ル処理した後,TSKーG6000PWとTSKーG4000SWを直列につないだダブルカラム系を用いてゲル濾過することによって,糖鎖を含むコアタンパク質分画,258kDaと237kDaのタンパク質を含む分画,120kDaタンパク質を含む分画の3分画に分離し,精子に対する効果を検討した。有意な先体反応誘起活性はコアタンパク質分画にのみ認められたが,cAMP上昇活性は認められなかった。一方,3種の分画で前処理した精子にFSGを加えると,コアタンパク質分画で前処理した精子だけがFSG添加によっても先体反応率が上昇しなかった。このことはコアタンパク質部分に精子と結合する部位が存在することを示唆している。 FSGをCNBrーアガロ-スにカップリングさせて調製したFSGーアガロ-スを担体としたアフィニティ-クロマトグラフィ-によって,1%CHAPSを含むバッファ-で可溶化される精子頭部のタンパク質を分画したところ,160kDaのタンパク質を主成分とする分画が7M尿素を含むバッファ-で溶出された。この分画をニトロセルロ-ス膜にスポットし, ^<125>I標識したFSGとインキュベ-トし,よく洗浄した後オ-トラジオグラフィ-を行なった結果, ^<125>I標識FSGの結合が認められた。他の分画には ^<125>I標識FSGの結合能は認められなかったことから,この分画中にFSG結合タンパク質が存在するものと考え現在結合タンパク質の精製と持異的抗体(モノクロ-ナル)の作製を進めている。 また,バフンウニ精子よりWGAレクチン結合タンパク質の精製とその全構造決定を行なうための実験も進行中である。
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