研究課題
SAP-I前駆体cDNAのクローニング、塩基配列の決定の結果、SAP-I及びその類似体は前駆体タンパク質中でリジンを挟んでタンデムに並んでいることが明らかになった。SAP-I前駆体cDNAから逆転写酵素によって合成したRNAをprobeとした in situ hybridizationの結果、SAP-Iは卵成熟の過程で卵巣内の栄養細胞で合成され、卵成熟に伴って成熟卵の表面に付加されることが明らかになった。SAP-Iはウニ精子の細胞膜上のFSGとは異なる2種の特異的受容体(高親和性、低親和性)に結合し、精子の、リン酸化体の膜結合型グアニル酸シクラーゼ(21残基のシグナルペプチドを含む1125残基のアミノ酸で構成されており、分子の中央に一つの膜貫通領域があり、22残基のホスフォセリンを持つ)の一過的な活性化及びそれに続いて脱リン酸化され(20残基のホスフォセリンが脱リン酸化される)、不活性化を引き起こす。SAPによる精子のpHiの上昇、呼吸促進及びcGMP濃度上昇に対する濃度一効果曲線から得られるEC50値と放射性ヨウ素標識SAP-Iの精子、精子細胞膜分画に対する結合実験から得られるKd値を比較すると、高親和性受容体はpHiの上昇及び呼吸促進に、低親和性受容体はcGMP濃度の上昇すなわち膜結合型グアニル酸シクラーゼの活性化に関係していると考えられる。71kDa SAP-I結合タンパク質(C-末端に膜貫通領域がある)は220kDa WGA-結合タンパク質と会合しているものと考えられる結果を得た。バフンウニ精子をビオチン化すると、膜表面に局在することが明かな数種のタンパク質(220kDa WGA-結合タンパク質、128kDa膜結合型グアニル酸シクラーゼ、71kDa SAP-I-架橋タンパク質、63kDaタンパク質)に加えて、50kDaタンパク質がビオチン化される。このビオチン化50kDaタンパク質はバフンウニFSGと種特異的な相互作用した。
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