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1993 年度 実績報告書

生物体硬組織をつくるメソスコピック構造の機能的意義

研究課題

研究課題/領域番号 02404008
研究機関京都大学

研究代表者

鎮西 清高  京都大学, 理学部, 教授 (70011517)

研究分担者 前田 晴良  京都大学, 理学部, 助手 (10181588)
神谷 英利  京都大学, 理学部, 助手 (00115825)
清水 大吉郎  京都大学, 理学部, 講師 (60025327)
大野 照文  京都大学, 理学部, 助教授 (40194245)
キーワード適応 / 機能形態 / 硬組織 / カキ / トグロコウイカ / ナミマガシワ
研究概要

生物硬組織の内部構造のうち機能的に意味があるのはミリメートルないし数十ミクロンオーダーのメソスコピック構造であるが、メソスコピックレベルの構造は従来注目されていなかった。この研究ではまず機能的視点にたった記載から始めた。さまざまなメソスコピック構造のうちから、二枚貝その他の動物殻の軽量構造、同じく固着のための構造、二枚貝と光合成藻の共生に関連する貝殻の光透過構造、哺乳類歯牙のエナメル質の層構造などを選び、それらメソスコピック構造をつくる超微構造のタイプとその組合せを記載し、メソスコピック構造の形成過程を調べ、機能形態的な意味を考察することを目的とした。
泥底に棲むカキ類の殻を軽量化しているメソスコピックな構造について総括した。カキの殻内部にみられる空隙の多い構造には4タイプがあり、種類ごとに違うタイプが見られる。マガキ類のboxwork構造はきわめて比重が小さく、カキが泥に浮いて生活するための基本的構造となっている。カキの固着部に、構造単位が細かく、緻密に石灰化がおこり固着に役立つridige-and-furrow構造が現れる。同じ固着性二枚貝でもナミマガシワでは足糸が石灰化して固着する。石灰化した足糸には小孔があって、そこから接着剤の役をする有機物が足糸と基盤の間に供給されて固着が起こることがわかった。一方、マルスダレガイ科の6種で殻表面に微細な石灰質の針状結晶がみられることが発見され、これが殻皮によって分泌されたもので、これらの二枚貝類が堆積物中に潜没し、その姿勢を安定に保つのに役立っていることがわかった。化石長鼻類Parastegodonのエナメル質は著しく薄く、明瞭な2層構造をなし、またそのエナメルプリズムは他の種に比べ横長であることがわかった。その機能的意義について検討中である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Chinzei,K.& Seilacher,A: "Remote biomineralization I:Fill skeletons in vesicular oyster shells" Neues Jahrbuch fur Geologie und Palaontologie.Abhandl.190. 349-361 (1993)

  • [文献書誌] Seilacher,A.& Chinzei,K.: "Remote biomineralization II:fill skeletons controlling buoyancy in shelled cephal." Neues Jahrbuch fur Geologie und Palaontologie,Abhandl.190. 363-373 (1993)

  • [文献書誌] Yamaguchi,K.: "Shell structure and behavior related to cementation in oysters" Marine Biology. 118. 89-100 (1994)

  • [文献書誌] 大野照文: "二枚貝の成長縞解析の現状" 月刊海洋. 25. 618-621 (1993)

  • [文献書誌] 大野照文: "Wells以来-地球・月力学系の歴史を記録した化石や堆積物の縞状構造" 月刊地球. 16. 53-59 (1993)

  • [文献書誌] 北里洋・大野照文・松岡数充: "現在によみがえる化石-実験古生物学-" 月刊地球. 16. 523-530 (1993)

  • [文献書誌] Kamiya,H.(co-auth.): "Structure,Formation and Evolution of Fossil Hard Tissues" Tokai University Press, 214 (1993)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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