研究概要 |
1.SecAタンパク質の機能:SecAとシグナルペプチドの相互作用をNMRを用いて解析した。シグナルペプチドの高次構造がSecAを相互作用することによって変化することを見い出し、目下その詳細を解析している。 2.SecEタンパク質の機能:SecE,SecY,SecAよりタンパク質の膜透過活性を再構成することに成功した。またSecEのC末端部分のみでSecE活性を示しうることを再構成系を用いて示すことに成功した。SecEのC末端部分がSecYとの相互作用部位であること,N末部分のSecEの安定化等に関与していることをin vivo実験で示した。 3.SecYタンパク質の機能:再構成実験によりSecYは膜透過系の必須因子であることを示した。中央部で切断されたSecY分子でも両方が存在すれば活性を示すことをin vivo系および再構成系で示すことができた。 4.SecD,SecFタンパク質の機能:SecD,SecFをそれぞれ精製・純化することに成功した。正常の細胞内におけるこれらの分子数を算出し、それより細胞内のタンパク質透過装置の数を推定した。精製タンパク質を再構成系に加えても透過活性の上昇は見られなかった。抗SecD抗体を用いてスフェロプラストにおけるタンパク質の分泌を阻害することに成功し、SecDが分泌に直接関与していること、その主たる機能が細胞質膜の外側で営なまれていることを明らかにした。 5.エネルギ-の関与:分泌装置がポリペプチド鎖以外の分子にも許容性を示すこと、そのような分子の膜透過にはプロトン駆動力がとりわけ重要なことを明らかにした。 6.シグナルペプチド各ドメインの役割:N末正荷電領域と中央部疎水領域が機能的に関連しあっていることを示した。
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