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1991 年度 実績報告書

Tリンパ球膜新プロテア-ゼの発見と、そのAIDSウイルス受容体としての作用機構

研究課題

研究課題/領域番号 02404026
研究機関徳島大学

研究代表者

勝沼 信彦  徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (50035375)

研究分担者 唐渡 孝枝  徳島大学, 酵素科学研究センター, 助手 (60108876)
木戸 博  徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (50144978)
キーワードレトロウイルス / エイズ / CD4 / トリプスタチン / トリプタ-ゼ / V3領域
研究概要

我々はCD4レセプタ-とは異なる新しいレセプタ-、Tryptase TL_2を見出しその性質をこれまで報告してきた。平成3年度の研究において、人免疫不全ウイルス(HIVー1)の外膜糖蛋白gp120と精製されたTryptase TL_2の結合を詳細に解析し、gp120の結合部位を解析すると同時に、培養細胞レベルにおいてもHIVー1の外膜蛋白gp120は人培養T細胞のTryptase TL_2と結合することを確認した。ヨ-ドラベルしたHIVー1のgp120とTryptase TL_2の結合の解離定数は、3.8×10^<-8>Mと計算され強い親和性が確認された。なおこの値は、これまでに報告されているgp120とCD4レセプタ-との結合の解離定数に比較するといくぶん弱い。さらにこの両者の結合は、gp120のV3領域に対するモノクロ-ン抗体やV3領域の合成ペプチド、Tryptase TL_2のサブユニットの1つ、32kDaサブユニットに対する抗体で強く抑制された。またTryptase TL_2のプロテア-ゼ作用を抑制するKunitz型インヒビタ-のTrypstatin,HIー30によっても両者の結合は抑制された。V3領域とこれらのプロテア-ゼインヒビタ-は、共にその結合部位と推定される領域にーGP(^G_C)RAFー構造を持つ。以上の事からTryptase TL_2はその32kDaサブユニットとgp120のV3領域が特異的に結合することが示唆された。さらにTryptase TL_2はHIVー1のもう1つの外膜糖蛋白gp41の膜融合ドメインとも結合し、この結合はV3領域を介するgp120とTryptase TL_2との結合の解離を誘導することが判明した。またTryptase TL_2の32kDaサブユニットに対する抗体はウイルスによる膜融合を阻止した。以上のことから、Tryptase TL_2はHIV初期感染プロセスにおいて、ウイルスの標的細胞認識と、膜融合プロセスに深く関与していることが示唆された。現在HIV感染におけるCD4レセプタ-とTryptase TL_2の相互作用を検討している。

  • 研究成果

    (12件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (12件)

  • [文献書誌] Hiroshi Kido: "Tryptase TL2 in the membrane of human T4 lymphocytes is a novel binding protein of the V3 domain of HIVー1 envelope glycoprotein gp120" FEBS Lett.286. 233-236 (1991)

  • [文献書誌] Hiroshi Kido: "Role of serine proteases in human T4 lymphocytes in the process of HIVー1 infection" IIIrd International Symposium on protease Inhibitor and Biological control. 36 (1991)

  • [文献書誌] Hiroshi Kido: "A novel membraneーbound serine esterase in human T4 lymphocytes is a binding protein of envelope glycoprotein gp120 of HIVー1" Biomed.Biochem.Acta. 50. 781-789 (1991)

  • [文献書誌] 木戸 博: "HIVー1レセプタ-" Immunology Frontier. 4. 18-28 (1991)

  • [文献書誌] 木戸 博: "ウイルス感染における宿主細胞プロテア-ゼの役割" Cell Science. 7. 48-58 (1991)

  • [文献書誌] 勝沼 信彦: "Tリンパ球膜の新セリンプロテア-ゼーAIDSウイルス受容体の可能性ー" 実験医学. 9. 98-101 (1991)

  • [文献書誌] 木戸 博: "エイズウイルス感染と細胞内プロテア-ゼ" BIOmedica. (1992)

  • [文献書誌] Hiroshi Kido: "A novel membraneーbound serine esterase in human T4^+ーlymphocytes immunologically reactive with antibody inhibiting syncytia induced by HIVー1" J.Biol.Chem.265. 21979-21985 (1990)

  • [文献書誌] Nobuhiko Katunuma: "Recent advances in research on tryptases and endogenous tryptase inhibitors" Monobraphs in Allergy. 27. 51-66 (1990)

  • [文献書誌] Nobuhiko Katunuma: "New biological functions of intracellular proteases and their endogenous inhibitors as bioreactant" Advances in Enzyme Regulation. 30. 377-392 (1990)

  • [文献書誌] 勝沼 信彦: "新しいbioreactantとしての細胞性セリンプロテア-ゼと内在性インヒビタ-" 生化学. 62. 18-31 (1990)

  • [文献書誌] Toshio Hattori: "Involvement of tryptaseーrelated cellular protease(s) in human immunodeficiency virus type 1 infection"

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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