研究課題/領域番号 |
02404029
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
若狭 治毅 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30004568)
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研究分担者 |
野沢 佳弘 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (40208343)
冨永 邦彦 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20145626)
北條 洋 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90209213)
浅野 重之 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (00045791)
阿部 正文 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (00045783)
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キーワード | Bリンパ腫 / 単クロ-ン抗体 / 接着分子 / 悪性リンパ腫 |
研究概要 |
Bリンパ腫の発生様式、腫瘍細胞の増殖および進展を明らかにするため、ヒト胎児リンパ節、Bリンパ腫の新鮮摘出材料およびBリンパ腫樹立細胞株を対象として免疫組織化学的および分子生物学的に検討した。その結果、1.ヒト胎児リンパ節の検討から、胎生期におけるBリンパ球の出現は胎令10週以降に始まり、一次濾胞は胎令16週に形成され、被膜近くの辺縁洞に接し小結節状をなしてくる。一次濾胞の細胞構成としてCD5陽性Bリンパ球が重要で、胎令25週のリンパ節では一次濾胞の約35%を占めている。2.対象とした低悪性度Bリンパ腫のうち、びまん性リンパ腫である小細胞型と中細胞型が一次濾胞ないしマントル層リンパ球から発生することを明らかにし、胚中心細胞由来の濾胞性リンパ腫とは組織発生上明瞭に区別される。その鑑別として細胞の形態学的特徴のみならず、免疫組織化学的にはCD5、Leuー8、IgDおよびアルカリフォスタ-ゼ染色の結果を組み合わせることによってマントル層由来と決定しうる。次に、胚中心由来の濾胞性リンパ腫は、CD10陽性と、bc1ー2遺伝子の再構成によって特徴づけられる。また、Bリンパ球のアルカリフォスファタ-ゼは、Bリンパ球がマントル層から胚中心に移っていくための活性化に必要なことがわかった。3.悪性リンパ腫細胞の増殖能は、患者の治療および予後に深く関係する。種々の検討を行なった結果、Bリンパ腫にとってはKiー67が有用で、びまん性大細胞型で最も陽性率が高かった。Kiー67の陽性率は患者の予後ともよく相関するが、病期や治療薬剤との関連は今後に残されている。4.腫瘍の進展に伴う腫瘍血管はある型のTリンパ腫で特徴的であるが、Bリンパ腫においても毛細血管の増生が顕著である。腫瘍の進展における内皮細胞や腫瘍細胞と接着分子との関連としてICAMー1の陰性例に骨髄浸潤を多くみとめたが、これも今後の重要な課題である。
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