研究分担者 |
小松田 光真 東海大学, 医学部, 講師 (20138647)
加藤 俊一 東海大学, 医学部, 助教授 (70096212)
長尾 忠美 東海大学, 医学部, 教授 (20093693)
有森 茂 東海大学, 医学部, 教授 (00033093)
小沢 敦 東海大学, 医学部, 教授 (50055638)
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研究概要 |
1.無菌環境下における骨髄移植による難病の治療:平成3年3月から平成4年2月までの間に無菌治療下におけて骨髄移植を行なった症例は27例であり,そのうち同種骨髄移植は23例(急性白血病11例,慢性骨髄性白血病1例,骨髄異形成症候群3例,神経芽細胞腫1例,再生不良性貧血3例,ハ-ラ-症候群1例,アイセル病2例,異染性ロイコジストロフィ一1例)であり,自家骨髄移植は4例(乳癌2例,卵巣癌2例)である。同種骨髄移植の成績はほぼ満足すベきものであったが,自家骨髄移植の成績は同種骨髄移植の場合よりやや劣り,今後この成績を向上させるための工夫が必要であると思われた。2.骨髄移植に伴う合併症の対策:骨髄移植後における慢性GVH病の発症頻度とその要因について検討したところ,その発症頻度は低年齢層ほど低い傾向があり,造血器腫瘍においては慢性GVH病を合併する群の方が高い生存率を示すという興味ある知見を得た。骨髄移植後の無菌治療において抗生物質の予防的投与により腸内の除菌を試みたところ,Vancomycin,Tobramycin,Amphotericin Bの併用投与がグラム陰性菌を最も有効に減少させ,その結果として急性GVH病の発症率が有意に低下することが示された。骨髄移植後しばしば併発する帯状疱疹を防止するために,移植前に骨髄提供者に水痘フクチンを接種することにより,約半数の患者において帯状疱疹を予防することが可能であった。この成績はその他の重篤なウイルス感染の予防に応用し得るものと考えられる。さらに骨髄移植後に併発したB型肝炎に対してαーインタ-フェロンを投与し,軽快させることが出来た。3.HLA不適合供血者からの骨髄移植の試み:HLA不一致の父親から骨髄移植を行ない,生着したが,その後に併発した重症のGVH病に起因すると思われる肺疾患により死亡した。この貴重な経験をもとに,今後積極的に同様の治療にアプロ-チする予定である。
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