研究課題/領域番号 |
02404040
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮本 宏 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (70002342)
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研究分担者 |
川上 義和 北海道大学, 医学部, 教授 (10001877)
秋田 弘俊 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70222528)
山口 悦郎 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (10201831)
棟方 充 北海道大学, 医学部, 講師 (00209991)
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キーワード | 遺伝子発現 / 肺 / 組織発生 / 細胞分化 / 肺癌 / 肺線維症 / 肺肉芽腫症 |
研究概要 |
肺の組織発生の過程における細胞分化と遺伝子発現の機構を明らかにすることを目的に研究が行なわれた。肺癌において核内レチノイン酸リセプタ-(RAR)遺伝子の構造異常や発現異常が肺癌の発現や進展に果たす役割を明らかにするため、肺癌細胞より全細胞RNAを抽出し、ノ-ザンブロット法でRAR遺伝子の発現異常の有無を検討した。検討したすべての肺癌細胞株において、RARーαおよびーγ遺伝子の発現を認めた。一方、RARーβ遺伝子の発現は認めなかった。生後5週齢のラットの各臓器より全細胞RNAを抽出し、ノ-ザンブロット法でcーmyc,Lーmyc,cーjunおよびRARーα、ーβおよびγ遺伝子の発現を検討した。上記遺伝子は各臓器で異なった発現様式をとることが明らかになった。 マウスでの気道内シリカ注入により間質性肺炎・肺線維化病変が形成されることが確認された。膠原病自然発生マウス1prー1prとそのコントロ-ルとして+/+マウスにシリカの気道内注入を行い、間質性肺炎および線維化の程度を比較したところ、むしろ+/+マウスで間質性肺炎および線維化の程度が有意に高かった。この結果は1pr遺伝子がむしろ線維化を抑制する方向に働いている可能性を示していると考えられた。 サルコイド-シスにおいてGMーCSFmRNAの発現と臨床的意義を検討した。mRNAの発現と臨床経過とは密接な相関があり、GMーCSFが予後を示す指標となり得ることが明らかになった。サルコイド-シス患者気管支肺胞洗浄液中の可能性CD4は上昇しており、肺局所でのCD4陽性T細胞の活性化を示唆すると考えられた。しかし、細胞1個当りの生産量として評価すると、胞隔炎の程度が強い病例ほど低く、down regulationの存在が示唆された。肺胞T細胞のPHA刺激による細胞内遊離カルシウムイオンの上昇は、末梢血に比較して低下しているが、抗CD3抗体刺激では逆に上昇していた。こうしたT細胞抗原受容体を介するシグナル伝達効率の対照的な動きは表面マ-カ-の検討から、大部分の肺胞T細胞がmemory T細胞であるためであることが明らかになった。
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