研究概要 |
ホルモンおよび細胞増殖因子等の細胞外からの刺激が細胞表面の受容体よりGTP結合蛋白質を介してPIーPLCを活性化しDGとIP3という二つのsecond messengerを産生しプロテインキナ-ゼCを活性化し蛋白のリン酸化を起こす経路はliposomeを用いGTPおよびPLCを再構成させる実験より明らかになりつつある。近年PIーPLCに関連のあるG蛋白質(GP)は低分子量であることが報告されつつある。またPIーPLCにも脳、および肝臓他、各臓器にて精製され分子量の異なるPLCが少なくても4種類存在する。心臓において、肝臓に存在するPLCと異なる2種類のPIーPLCをわれわれは精製している。またIP3kinaseにかんしては脳、大動脈平滑筋細胞にて精製されている。心臓に関しては、われわれが部分精製の段階にある。G蛋白質にも他の臓器の異なったものが有り、心臓における細胞膜情報伝達系は他の臓器と異なった様式を示すものと考え、現在検討中である。またPLCにheterogeneityがあることが知られているが、未だに完全精製されておらず、3種のイノシト-ルリン脂質(PIns,PIP,PIP_2)に特異的なPLCや、至適pHやCa濃度の異なるPLCは報告されていなかった。また従来、PLC活性には非生理的に高濃度なCa(5mM)を要するため、生体内における役割は疑問視されていた。我々はラット心筋に、50uMという生理的濃度に近いCa濃度でPIP_2を特異的に加水分解する新たなPLCを発見しこれを精製した。またラット心筋膜において、種々の情報伝達に関わっているG蛋白のαサブユニットは41Kではなく、39Kと40Kであることを発見し心筋肥大にこれらGTP結合蛋白質ーPIーPLCが関与していることを報告してきた。現在、ラット心筋からIP3kinase、IP3およびIP4monophosphataseを精製中でありこれらの酵素の心筋肥大との関連を検討中である。
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