研究概要 |
1.単クロ-ン抗体の細胞内注入による筋小胞体Caシグナリング蛋白質機能の細胞レベルでの検討: Pacing下の単離心筋細胞を用いてIndo Iによる細胞内Ca動態を蛍光顕微鏡測光システムにて検討した。本測定系の分解能と再現性を確認した後、低酸素負荷およびCa過負荷条件下における心筋細胞内Ca動態の検討を行い、その結果及び考察の公表を準備中である。 本測定系を用いて筋小胞体Caシグナリング蛋白質の一つであるホスホランバンに対する単クロ-ン抗体の心筋細胞内Ca動態に及ぼす効果を検討するにあたり、まず心筋SR瀘胞レベルで基礎検討を行った。抗ホスホランバン単クロ-ン抗体は、ホスホランバンのCaポンプATPaseに対する抑制効果を解除し、ATPase活性を亢進させた。この結果と考察は既に公表した(J.Mol.Cell.Cardiol.Vol.23,1223,1991)。この結果をふまえて、上記単クロ-ン抗体の単離心筋細胞内への注入による心筋細胞内Ca動態への影響を検討中である。 2.合成ペプチドを用いた筋小胞体Caシグナリング蛋白質機能の検討: ホスホランバンの一次構造から部分ペプチドを合成し、心筋小胞体CaポンプATPaseに対する効果を蛋白質レベルで調べた。ホスホランバンはその細胞質ドメインがCaポンプATPase活性のVmaxを、そのSR膜内ドメインがCa感受性を抑制し、ホスホランバンの燐酸化によって、それらの効果が両方とも解除されることを明らかにした。この結果と考察は、平成4年初頭に公表の予定である(J.Biol.Chem.Vol.267,1674,1992)。この結果をふまえて、上記の部分ホスホランバン合成ペプチドの単離心筋細胞内への注入による心筋細胞内Ca動態への影響を検討中である。
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