先天型筋ジストロフィ-症の遺伝・疫学,臨床的研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02404046
• 研究機関: 東京女子医科大学
• 研究代表者: 福山 幸夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70075175)
• 研究分担者: 新井 ゆみ 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00151142) ; 宍倉 啓子 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20130255) ; 鈴木 暘子 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90096602) ; 斎藤 加代子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90138834) ; 大沢 真木子 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (20119910)
• キーワード: 先天性型筋ジストロフィ- / 染色体異常 / DNA分析 / 多小脳回 / 厚脳回 / ジストロフィン / 筋生検 / 骨格筋CTスキャン

研究概要

前年度に引続き、(1)当科通院中の症例につき、身体小奇形、手掌紋分析、難治痙攣発作合併例における抗痙攣剤薬理動態の検討、頭部および骨格筋のCT、MRIによる画像解析、染色体高精度分染分析を行った。(2)国療刀根山病院などを訪問し、患者を診察、臨床像、眼異常、身体小奇形など詳細に検討した。(3)CMD90名に於て痙攣の実態・予後を検討し、原稿作成中である。(4)非福山型CMD1例で第15番染色体転座を発見し、その由来解明のため、株化リンパ球の、in situ hybridization解析を準備中。(5)当科通院中、国療入所中、在宅ケア中の患者と家族の了解の下に、40家系より採血し、リンパ球よりDNAを調製した。一部はEBウイルスによりcell line化した。これらDNAに関してpolymerase chain reaction(PCR)法を用いてmicrosatellite geneの多型を検索し、連鎖解析を開始した。本研究は新潟大辻省次教授との共同研究であり、新潟での研究打合わせと講演会を行った。(6)遺伝分析に重要な近親婚家系(長野在住)の患者と家族から昨年度採血し得たリンパ球が汚染されたので、再訪問し、診察及び血液採取した。(7)FCMD及び非典型的筋ジスの各1剖検例の脳・脊髄・筋からmーRNA採取を準備し、皮膚線維芽細胞を培養した。(8)本症の神経細胞遊走障害を神経病理学的に検討した。(9)感染時の急激な筋力低下の増悪、アセトン血性嘔吐様病態に対し、有機酸分析、アミノ酸分析を追加検討した。(10)本症患児の出産時に得られた胎盤より、DNA、mRNAを調製し、現在分析を開始した。(11)生検筋8例および剖検筋1例に関して、抗ジストロフィン抗体を用いた蛍光抗体法で検索し、ジストロフィンは全例陽性であった。

研究成果

• [文献書誌] Mariko Osawa,Yumi Arai,Harumi Ikenaka,et al.: "Fukuyama Type Congenital Progressive Muscular Dystrophy" Acta Paediatrica Japonica. 33. 261-269 (1991)
• [文献書誌] 大沢 真木子,斉藤 加代子,池谷 紀代子,福山 幸夫: "Duchenne型筋ジストロフィ-症の遺伝相談" Brain and Nerve. 43. 429-441 (1991)
• [文献書誌] 斉藤 加代子: "ジストロフィ-遺伝子解析とその応用" 細胞. 23. 43-50 (1991)
• [文献書誌] 斉藤 加代子: "筋ジストロフィ-の遺伝子診断" BIO media. 6. 78-83 (1991)
• [文献書誌] 斉藤 加代子,山内 あけみ,池谷 紀代子,福山 幸夫: "Duchenne型ジストロフィ-(DMD)ー遺伝子異常と臨床ー" 小児内科. 23. 1191-1198 (1991)
• [文献書誌] 伊藤 景子,桐淵 和子,中川 ひとみ,内田 幸男,大沢 真木子: "福山型先天性筋ジストロフィ-症にみられた網膜硝子体異常" 眼科臨床医報. 84. 526-529 (1990)
• [文献書誌] 大澤 真木子,新井 ゆみ,池中 晴美: "臨床リハビリテ-ション小児リハビリテ-ションII(分担執筆)" 医歯薬出版株式会社, 330 (1991)
• [文献書誌] Mariko Osawa,Keiko Shishikura: "Handbook of Clinical Neurology Vol.15(59): Diseases of the Motor System" Elsevier Science Publishers, 51-80 (1991)