研究概要 |
B_<12>の時間生物学的作用解明の一環として,ラット行動概日リズムの自由継続周期τに対するB_<12>の効果を検討した。 1.B_<12>過剰状態と欠乏状態でのτの比較:各5匹よりなるA,B2群の車廻しと飲水活動の恒常暗条件DD(<0.01 lx)でのτを計測し,血中B_<12>濃度との対応を検討した。B_<12>1mg/kgを含有する過剰食とB_<12>を全く含まない欠乏食を用意し,はじめの100日間はA群に過剰食をB群に欠乏食を与え,次の200日間はA群に欠乏食をB群に過剰食を与えた。血中B_<12>濃度が2000pg/ml以上になった時τが短縮したラットは6匹,B_<12>濃度が200pg/ml以下になった時τが延長したラットは5匹,いずれの場合もτが不変であったものが3匹であった。この結果はτがB_<12>過剰状態では短縮し,欠乏状態では延長することを示唆する。しかしτは血中B_<12>濃度の変化に対応して敏速に変化するものではなく,かなりの日数を経てからτが変化した。 2.B_<12>欠乏状態で大量のB_<12>を投与した時のτの変化:10匹にB_<12>欠乏食を100日間与え,血中B_<12>濃度が200pg/ml以下になった状態で,浸透圧ミニポンプによりB_<12>を流速0.92μg/h(C群5匹)と0.23μg/h(D群5匹)で連続2週間皮下注入した。血中B_<12>平均濃度は注入2週間目では,C群12862pg/ml,D群5342pg/mlと高値を示し,その後徐々に減少したが,注入85日目でもC群1073pg/ml,D群675pg/mlであった。自発運動(Animex)と飲水活動のτがB_<12>注入後短縮したラットは7匹あったが,短縮の程度は0.1h以下と僅かであった。 これらの結果はいずれもB_<12>が僅かではあるがτの短縮作用をもつことを示し,τが約25時間であるヒトの非24時間睡眠覚醒リズム症候群に対するB_<12>の奏効機序の一部を説明できる結果である。
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