研究課題/領域番号 |
02404063
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
岡田 和夫 帝京大学, 医学部, 教授 (30082093)
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研究分担者 |
大島 孝 帝京大学, 医学部, 助手 (40223804)
稲田 英一 帝京大学, 医学部, 助教授 (40193552)
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キーワード | 近赤外線分析 / 出血性ショック / 低血圧麻酔 / 血液希釈 / チトクロ-ム・オキシダ-ゼ / 脳内Hbo_2 / 脳Hb / 脳虚血 |
研究概要 |
実験による近赤外線分析装置の新知見を追跡した。非侵襲的に脳内酸化状況を測定できることを去年の研究で確認してあるので、脳内組織環境が外部からの測定では求められないが、臨床で有用である状況を設定して研究を行なった。近赤外線を六波長としてヘモグロビン、還元ヘモグロビン、チトクロ-ム・オキシダ-ゼを分離して個々に測定するシステムを応用した。出血性ショックは従来脳循環の自動調節機構が働いてかなりの時点まで維持されているとされている。脳酸化状況をチトクロ-ム・オキシダ-ゼの変動から見ると血圧60mmHgを割ってくると、脳酸化状態は維持できなくなることが証明できた。 次いで手術時に低血圧麻酔は安全に行はれているかどうかをこの方法により検討した。プロスタグランデンE_1により血圧60mmHgに低下させて心拍出量を測定しこの低下が著しくないのを確認した。この時点での近赤外線分析による脳内酸化状況の測定を行い、出血性ショックの所見と比較した。ショックに比ベ脳酸素環境は良好な状態を保ち、脳Hbo_2は上昇し、Hb低下は僅かで(Hbo_2+Hb)としてみた脳内血液量は増加した。 同時にチトクロ-ム・オキシダ-ゼは低下はみられずむしろ上昇傾向が見られた。出血性ショックは脳Hbの上昇、Hbo_2の減少これに引き続いてのチトクロ-ム・オキシダ-ゼの低下という対照的所見であった。 出血に対し輸液で補う血液希釈法はC型肝炎などの対策としても臨床で広く応用されている。この血液希釈の度合がどれ位までは脳酸素環境から見て安全かを本法を用いて検討した。ヘマトクリット値25%、次いで15%と希釈の度合を増やしていくと、脳血液量は増加するが酸素運搬量は平行して増加しなくなる。この時の脳酸素環境はHbo_2の減少、Hbは不変という(Hbo_2+Hb)量の減少がみられ、やや遅れてチトクロ-ム・オキシダ-ゼの低下がきて、血液希釈の安全限界が25%と考えられた。
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