研究課題/領域番号 |
02404064
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
熊澤 淨一 九州大学, 医学部, 教授 (60038669)
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研究分担者 |
水之江 義充 九州大学, 医学部, 助手 (20157514)
尾形 信雄 九州大学, 医学部, 講師 (90185497)
松本 哲朗 九州大学, 医学部, 講師 (50150420)
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キーワード | 腎瘢痕 / MS線毛 / MR線毛 / 白血球 / ス-パ-オキサイド / コルヒチン / ス-パ-オキサイド・ディスムタ-ゼ / セラチア |
研究概要 |
慢性腎盂腎炎の終末像は腎瘢痕であり、腎瘢痕は腎機能障害、腎性高血圧等の原因となる。この原因検索の一つとして、細菌側要因と宿主側要因について検討した。 細菌側要因としては、細菌の膜付着構造の一つである細菌線毛に注目した。複雑性尿路感染症患者より分離されたセラチアより、マンノ-ス感受性(MS)線毛とマンノ-ス抵抗性(MR)線毛の遺伝子をクロ-ニングし、無線毛大腸菌に挿入し、MSとMRをそれぞれ別に発現した細菌を作製した。この人工変異株をラット腎実質内に接種し、6週間後に腎を観察すると、MS線毛保有菌では強い瘢痕形成をみたが、無線毛菌やMR線毛保有細菌では腎瘢痕の形成はみられないか、極めて弱かった。 また、宿主側要因を検討する目的で、白血球の遊走阻害剤であるコルヒチンと白血球の産生するス-パ-オキサイドの特異的なスカベンジャ-であるス-パ-オキサイド・ディスムタ-ゼ(SOD)の影響を観察した。MS線毛保有株をラット腎実質に投与する直前または直後に、上記2薬剤を投与すると6週間後の腎瘢痕形成は有意に抑制された。 以上の事実より、腎瘢痕の形成には細菌側要因として、MS線毛が重要であり、宿主側要因としては炎症局所に浸出する白血球や白血球の産生するス-パ-オキサイドが重要であると考えられた。
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