研究概要 |
【目的】 周知のごとく,婦人の性周期には、卵胞期と黄体期があり、このうち黄体期が強調されたホルモン環境を示すものが、妊娠である。 かくのごとく,婦人にとって妊孕現象は避けられないものであるので婦人の生殖可能な年齢において、性周期や妊娠の中で血小板を中心とする止血作用は、如何に関与しているかということを検索することが第一の目的である。第二には、『ヒトは血管と共に老いる。』といわれるが,加齢によって血小板凝集および止血作用は如何に影響をうけるかについて検討を加えることにある。 【方法】 1.対照群として、正常の月経周期をもつ非妊娠婦人20名、正常妊婦12名、ボランティアの成人男性6名、札幌市郊外の某老人ホームに収容中の70〜84才の女性の高齢婦人14名である。 2.上記の各群に対してThrombostat 4000によって、各パラメーターを測定した。 3.血小板凝集能はHema Tracer 801にて測定した。凝集惹起物質としてADP(1.5MM),Collagen(1.0MM)を用い、PPPを対照としてPRPの凝集能の割合をパーセント(%)で示した。 【成績】 1)Thrombostat 4000について,非妊娠婦人については、卵胞期と黄体期との間に有意差はみとめられなかったが,妊婦と非妊婦人の間の比較では、Vol.2については妊婦が271.7±83.0(Ml)(非妊婦黄体期417.2±68.6)と有意の差をもって減少していた。高齢婦人ではTime2が延長。 2)血小板凝集能では、ADP, Collagenとも妊婦が亢進,高齢婦人が低下した。
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