研究概要 |
卵巣悪性腫瘍は初回行われる手術の後に化学療法を施行するのが標準的な治療方針である。CAP(Cyclophosphamide,Adriamycin,CDDP)に比較してPVB(CDDP,Vinblastine,Bleomycin)が寛解率、再発率において有意に優れていた事は既に前年度に明かにした。現在PVBとPP(CDDP,CBDCA)の両者を比較しているが、まだ症例集積中(各30例)である。再発例に対する治療法は、再発病巣を外科的に切除できたことと、エトポシド使用例が多く認められたが、更に長期に観察する必要がある。リンパ節転移に関する解析では、組織型別にみると漿液性腺癌31%、粘液性腺癌0%、類内膜腺癌31%、明細胞腺癌18%であった。後腹膜所見を考慮しない旧進行期別に転移率をみると、I期15%、II期36%、III期42%、IV期33%で全体では32%でありII期以上で転移率の上昇を認めた。従来言われている経路以外に腹膜から直接リンパ節に転移する経路も考えられるが、更に詳細に検討する予定である。 CDDPは臨床的に非常に有効な薬剤であるが実際にはCDDP無効例の存在と治療を進めていくうちに無効になる症例がある。CDDPの効果増強法として現在までに多数の薬剤をMTTアッセイにて検討したところ、アムホテリシンBが最も低濃度でCDDPの抗腫瘍効果を増強した。この作用は他のプラチナ誘導体でもみとめられたが、CDDPに対する作用が最も著名であった。続いてヌードマウスに卵巣癌株を移植してアムホテリシンBが生存率に与える影響を検討した。CDDP単独投与に比ベてアムホテリシンBの併用により生存日数が約2倍に延長した。更に同様の実験をM-CSFで試みたところ抗腫瘍マクロファージが誘導され生存日数は2-3倍に延長した。これらの結果は将来は臨床応用に期待が持たれるものである。
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