下顎頭軟骨の骨化機構に関する発生学的、免疫組織化学的、超微細構造学的研究

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02404070
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 一條 尚 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (20013807)
• 研究分担者: 大迫 正文 東洋大学, 文学部, 構師 (60152104) ; 柴田 俊一 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (80187400) ; 鹿野 俊一 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (60114758) ; 寺島 達夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (20114770) ; 山下 靖雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (70014157)
• キーワード: 下顎頭 / 軟骨内骨化 / 結晶 / 免疫組織化学 / 器官培養法 / モノクロナール抗体

研究概要

1.下顎頭軟骨の初期石灰化部位における結晶の超微細構造に関する観察において、種々の発育段階のラツト下顎頭を摘出後、直ちに化学固定を行い、また一部には液体窒素を用いた急速凍結置換固定法を適用し未脱灰のまま樹脂包理を行い、超薄切片を作製した。その後、加速電圧300KVおよび200KVの超高圧透過電子顕微鏡を用いて、下顎頭軟骨初期石灰化部位に出現する結晶構造について、直接原子配列レベルでの観察を分解能をさらにあげておこなった。その結果、初期石灰化部位の結晶には種々の溝造欠陥が在存することが明かとなった。
2.下顎頭の軟骨細胞及び軟骨基質を抗原とした単クローン抗体の作製および免疫電顕的観察においては、下顎頭軟骨の軟骨細胞の細胞質と反応する単クロナール抗体を作成し、免疫電顕的に観察した結果、軟骨細胞に多量に存在するグリーコゲンを認識していることが確認出来た。また、軟骨基質に対する抗体を作製するために、下顎頭軟骨基質の構成成分を分離して、in vitroおよび睥内免疫法を用いて、抗体の作製をすすめている。
3.下顎頭の器官培養法による下顎頭軟骨細胞の分化発育の観察に関して、マウス胎生16.5日齢の胎仔の下顎頭を、イシコフのMDMを培地として用いて器官培養をおこなった場合、下顎頭軟骨は分化発育し、軟骨細胞の増殖による軟骨層の肥厚が認められる結果、その大きさを増加させるが、軟骨内骨化はほとんど進行していないことが明かとなった。また、培養した下顎頭に対して、type1およびtype2collagenに対する抗体や本研給で作成した抗体を用いて免疫組織化学的観察を行なっている。

研究成果

• [文献書誌] T.ICHIJO.Y.YAMASHITA,T.TERASHIMA: "Ultrastructure of human dental enamel crystals ohservations on the structural features and characteristics of diological apatite crystals.2.observation on the ultrastructure of human enamel crystals." Bull.Tokyo Med.Dent.Univ.39. 71-80 (1992)
• [文献書誌] 大迫 正文,寺島 達夫,山下 靖雄,一條 尚: "ラット下顎骨関節突起における骨の構成状態ならびに構造に関する組織学的観察" 日本解剖学雑誌. 67. 178 (1992)
• [文献書誌] 馬場 麻人,柴田 俊一,寺島 達夫: "ラット下顎頭軟骨に対するモノクロナール抗体の作ぞ" 日本骨代謝学界雑誌. 10. 271 (1992)
• [文献書誌] T.ICHIJO,T.HIDAKA,I.FURUTA: "Comparative study to the ultrastructure of synthetic hydroxyapatite crystals,and human tooth and bone crystals." 4th World Biomater.Cong.211 (1992)
• [文献書誌] 一條 尚,山下 靖雄, 寺島 達夫: "日立H-9000形(300kv)透過電子顕微鏡を用いた歯と骨のapatite結晶の微細構造に関する観察" 口腔病学会雑誌. 58. 730 (1991)
• [文献書誌] S.Shibata,O.Baba,M.Ohsako,S.SuzukI,Y.Yamashita,T.Ichijo: "Ultrastructural ohservation on matrix fibers in the condylar cartilage of the adult rat mandeble." Bull.Tokyo Med.Dent.Univ.38. 53-61 (1991)