研究課題/領域番号 |
02404079
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 厚 京都大学, 薬学部, 教授 (10025695)
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研究分担者 |
八浪 公夫 京都大学, 薬学部, 助手 (30191141)
福井 哲也 京都大学, 薬学部, 助教授 (90111971)
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キーワード | 肥満細胞 / ヒスタミン / ヒスチジン脱炭酸酵素 / トロンビン / プロテインキナ-ゼC / サイクリックAMP |
研究概要 |
本年度の研究計画に従い、以下の研究実績を挙げた。 1.ヒスタミンの生合成に関する研究成果: これまでの研究で癌化肥満細胞を材料としてヒスタミン合成酵素であるLーhistidine decarboxylaseを精製し、その部分アミノ酸配列からcDNAのクロ-ニングとcDNAの一次構造を解明した。現在、本酵素のゲノムを解析中であるが、まもなくペプチド全長のDNA配列が明らかにされるとともに、研究成果の2に対応する本酵素の遺伝子発現を調節するプロモ-タ-領域についても解明される予定である。 2.酵素遺伝子の発現調節に関する研究成果: 癌化肥満細胞のLーhistidine decarboxylaseの酵素活性およびそのmRNA量は、細胞をデキサメサゾン+Cキナ-ゼ活性化、もしくは細胞内cAMP増加+Ca^<2+>増加で処理することにより顕著に増大する。これらの因子はプロモ-タ-領域に作用して酵素遺伝子の発現調節を行っているものと考えられるので研究成果1との関連で検討を加えているところである。 3.肥満細胞と炎症関与細胞間の相互作用に関する研究成果: 肥満細胞の機能を調節する血管周辺作用因子としてトロンビンとプロスタサイクリン(PGI_2)をモデルに培養肥満細胞(ILー3依存性増殖細胞株、ICー2)への作用を検討した。肥満細胞はトロンビン刺激でヒスタミン分泌を起こすが、その作用は受容体を介し活性化したCキナ-ゼによるカルシウムチャンネルで細胞外Ca^<2+>の細胞内流入が促進することが引金になることを明らかにした。一方、PGI_2は受容体ーGsーアデニル酸シクラ-ゼ系により産生するcAMPでヒスタミン分泌を抑制する。この系はCキナ-ゼによりMARKS蛋白がリン酸化され、CaMーCa^<2+>系が活性化すると顕著に促進されることを発見し、これがヒスタミン分泌の制御に関与する可能性を新たに示唆した。
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