研究課題/領域番号 |
02404079
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 厚 京都大学, 薬学部, 教授 (10025695)
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研究分担者 |
福井 哲也 京都大学, 薬学部, 助教授 (90111971)
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キーワード | 肥満細胞 / プロスタグランジン / プロスタサイクリン / プロスタグランジンE_2 / MARCS蛋白 / ヘムオシゲナーゼ / △^<12>-PGJ_2 |
研究概要 |
本年度の研究計画に従い、以下のような知見を得た。 1.肥満細胞におけるプロスタグランジン類の作用:(1)IL-3依存性増殖肥満細胞株(BNu-c12)において、プロスタサイクリンは、促進性G蛋白を介してアデニル酸シクラーゼを活性化した。(2)この活性化は、Cキナーゼ活性化剤のホルボールエステルの添加により顕著に増大した。(3)Cキナーゼによる活性化反応はカルモジュリン(CaM)阻害剤のW-7で阻害された。(4)透過性細胞ではプロスタサイクリンの効果はないがCaM-Ca^<2+>付加により発現する。(5)Cキナーゼの基質はCaMにより活性化した分子量60kDaのMARCS(myristylated alanine rich C kinase sub strate)であることを明らかにした。現在、Cキナーゼを活性化する生体内リガンドを検索している。 2.プロスタグランジン受容体の遺伝子解析:(1)マウス肺のトロンボキサンA_2受容体のcDNAをクローニングし、一次構造を解析した。(2)マウス癌化肥満細胞のPGE_2受容体のcDNAをクローニングし、PGE_2のサブタイプ三種類ある中でその二種類の受容体(EP_2とEP_3)のcDNAをクローニングし、それらの一次構造とノザンハイブリダイゼーションによりmRNAの組織分布を明らかのした。また、サブタイプのEP_3には、そのC末端がRNAスプライシングにより転換した二種類がさらにあり、これらはリガンド結合の親和性、G蛋白とのカップル様式、脱感作の発現の有無、組織発現性などにおいて異なることからPGE_2の生理作用の多様性を説明するものと考える。 3.肥買細胞のPGD_2の血清変換物質である△^<12>-PGJ_2は、血管内皮細胞の核に結合し、ヘム代謝に重要なヘムオキシゲナーゼの転写を促進するという新たな肥満細胞の機能を発見した。
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