研究課題/領域番号 |
02404080
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研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
中村 祐輔 癌研究会, 癌研究所・生化学部, 部長 (70217909)
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研究分担者 |
土屋 永寿 癌研究会癌研究所, 病理部, 研究員 (00072314)
北川 知行 癌研究会癌研究所, 病理部, 部長 (50085619)
時野 隆至 癌研究会癌研究所, 生化学部, 研究員 (40202197)
佐藤 孝明 癌研究会癌研究所, 生化学部, 研究員 (30225958)
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キーワード | 染色体地図 / 腎癌 / 乳癌 / 染色体転座 / RFLP |
研究概要 |
ヒト第3染色体だけをヒト由来の染色体として有するヒト×チャイニ-ズハムスタ-雑種細胞より抽出したDNAを用いてコスミドライブラリ-を作製した。ヒト反復配列をプロ-ブとして利用し、このライブラリ-よりヒト第3染色体特異的クロ-ンを約5000個選択した。この数は第3染色体すべてをカバ-する数に相当する。このうち600クロ-ンからコスミドDNAを精製し、順次RFLPの有無についてテストをした。6人の血縁関係のない人より抽出したDNAを制限酵素MspI、TaqI、RsaI、PstI、PvuIIまたはBglIIで切断してサザン法にてブロットしたパネルを用いて調べたところ、240クロ-ンがRFLPを同定した。これらを蛍光<in situ>___ーハイブリダイゼ-ション法やリンケ-ジ解析を用いて第3染色体のどの部分に位置するかを決定した。41個のRFLPマ-カ-による全長で308cM・マ-カ-間の平均距離約8cMの精度の遺伝的地図を作製した。これは、現時点において世界で最も精度の高い遺伝的地図である。次に、これらマップされたクロ-ンを用いて腎癌、乳癌における染色体欠失部位を詳細に検討した。47例の腎癌、200例の乳癌について調べた結果、腎癌では第3染色体のp13ーp14とp21・3の2領域が共通して欠失していることが明かとなり、少なくとも2個の癌抑制遺伝子の存在することが示唆された。また、p13ーp14の領域は染色体転座(3:8)(p14:q23)を伴った腎癌多発家系における染色体転座切断点を含んでおり、この転座による切断によって癌抑制遺伝子が不活化されている可能性が大きい。また、乳癌においては腎癌において共通して欠失している領域のうち近位側だけで高頻度の欠失を認め、p21・3での染色体欠失の頻度は非常に低かったことから、乳癌に関する癌抑制遺伝子は第3染色体短腕には1個存在するものと考えられる。
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