研究概要 |
エコンドライトは,太陽系初期に始源的物質より溶融と結晶化などにより,分化した隕石であり,これらの物質が存在していた原始的な惑星のような天体(母天体)があったとされている。本研究では,これらの隕石の広領域の研究者により,その母天体の構成物質を再構築することにより,その形成と物質進化の過程を推定しようとするのもである。 今年度は最終年度であるので,その結果を総合して考察を試みるため,コンピュ-タ-の画像処理の方法を確立するとともに,その画像デ-タベ-ス化も試みた。画像処理方法の主なものは,走査型電子顕微鏡にエネルギ-分散型の分光器を組合せ,デイジタル電子線ビ-ムコントロ-ルにより得られたSi,Mg,Caなどの二次元元素分布画像を,画像処理するものである。輝石中のCa,Mg,Feの端成分にRGBの三原色をふりつけ,任意の組成のものをその合成色によって表現し,分布画像に色をつけるプログラムを開発した。これらの応用により特有な化合組成をもった領域が,容易に発見できるようになり,その画像をもとに,ある化学組成をもった輝石の存在比を示めることができるようになった。これらのデ-タを光磁気ディスクに保なし,顕微鏡画像と対応させた。 これらの方法により,原始的エコンドライトが,コンドライト的物質から,微惑星の衝突などにより,Ca,Alを失い,Fe,N,Sなどが一部分,移動分離することにより形成されたことがわかり,小惑星帯にもっとも多い,S型のものに対応づけられることを示した。ユ-クライトについては,その母天体上でのクレ-タが形成された隕石衝突で,部分的に溶融するほど高温により熱変成を受けるものであることが推論された。Mgに富むユ-クライトも,マグマ大洋の深い所でできたものが,隕石衝突によりクレ-タ-ができた時,一部分堀り出されて,また冷却されるような歴史を示すことも判明した。
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