研究課題/領域番号 |
02405006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塚谷 恒雄 京都大学, 経済研究所, 教授 (90027459)
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研究分担者 |
石田 紀郎 京都大学, 農学部, 助教授 (80026434)
水間 満朗 京都大学, 原子炉実験所, 講師 (60027414)
高橋 正立 京都大学, 教養部, 教授 (50026762)
池淵 周一 京都大学, 防災研究所, 教授 (20026181)
鈴木 和志 京都大学, 経済研究所, 助教授 (40226501)
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キーワード | 地球環境 / カザフスタン / アラル海 / バルハシ湖 / 水資源 / 砂漠化 / 放射能 / 潅漑 |
研究概要 |
本研究は、価値観が長期的に変動する場合の環境汚染・災害防止の経済理論を、国内公共投資と国際公共投資の面から理論的に開発し、長期的な環境汚染・災害防止の国際的経済政策を提示しようとするものである。本年度は、前年度に引続き水害・水資源を中心とした分析を行った。その成果は「太平洋沿岸の水資源の防災に関する対馬コンファレンス」と題したプロシ-ディングスとして発刊した。また今年度は、70年間にわたって秘密のベ-ルに包まれていたソ連社会主義国家において発生した環境汚染と災害の実態を旧ソ連邦、カザフ共和国の災害環境問題の現状を分析し、学際的国際的科学協力のありかたについて議論をおこなった。 すなわち1950年代より開始された綿花栽培を中心とする中央アジアの大規模潅漑の農業開発は、早くも1960年代後半より砂漠化をすすめ、大規模なるが故の化学物質の多用と潅漑路の老朽化により、ユ-ラシア大陸随一の環境破壊を生み出した。その結果、天山山脈とパミ-ル高原からの水資源は乾燥地帯で蒸発し、内陸湖であるアラル海へ流入水を減少せしめ、農薬などによる地下水汚染を惹起した。アラル海の漁業や沿岸産業は壊減し、母乳中の農薬や貧困に基づく肝炎などが乳幼児に蔓延し、周辺地域の乳児死亡率は世界最高の値を占めるに至っている。この事態に鑑み、本研究ではこれら環境破壊の因果連鎖を明らかにすると共に、進行しつつある地球規模環境破壊に対する日本などの国際貢献のあり方を提示することとした。すなわちアラル海とバルハシ湖を対象に、旧ソ連邦の経済構造の如何なる実態がこの破壊をもたらしたのかを現地資料や関係者証言を基に調査中である。また緊急的・長期的な国際研究についてプログラムを作成中である。 以上の2つが本年度の大きな実績であるので、現在これらの報告書を準備中である。
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