瞬間マルチ測光式パルス電気二色性装置の製作と天然及び合成DNAの高次構造の研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02405008
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 山岡 究 広島大学, 理学部, 教授 (40033815)
• 研究分担者: 福留 清博 広島大学, 理学部, 助手 (50183588) ; 落合 洋 広島大学, 理学部, 助教授 (50033840) ; 山本 修 広島大学, 理学部, 教授 (80034627)
• キーワード: パルス電気二色性 / 紫外二色性スペクトル / 合成デオキシポリヌクレオチド / プラスミドDNA / 二重鎖らせん構造 / 電場配向機構 / 蛍光電気二色性 / 核酸-色素複合体

研究概要

【装置の設計と製作】瞬間マルチ測光式パルス電気二色性装置の製作を終了し、また、光学系・電気系と瞬間マルチ分光器本体との接続化に関するソフトウエアも完成した。しかし、本分光器の特性として紫外領域(300nm以下の短波長域)において、迷光の存在が大きいことが判明した。極力これの除去に努力したが、成功しなかった。さらに信号検出用イメージインテンシファイヤー面からの残光の処理もメーカー側に要請したが、結果の改良には結びつかず、より高性能な分光器を購入する以外に方法はないと結論した。従って、瞬間マルチ分光器による測定は可視領域(300--700nm)における色素との複合体に限定することとした。
【DNA-色素複合体の電気二色性スペクトル】色素としてDNA塩基対間に挿入するといわれるエチジウム・ブロマイド(EtBr)並びにそのアセチル化誘導体とDNAとの電気二色性(ELD)スペクトルの測定を行い、その成果を日化速報誌に投稿準備中である。対照実験として、二重らせんポリA・ポリUとEtBr等とのELDスペクトルの測定を行っている。従来の方法によりトリ赤血球核由来DNA(塩基対数145)、Co(NH_3)_6^<2+>やMn^<2+>イオンによりB←→Z転移をするとされるポリ(dG-dC)、プリン三重鎖らせんポリI・ポリA・ポリI等のELDスペクトルを測定した。測定データから塩基対面への法線とらせん軸とのなす角度、横転角、傾き角等を計算するための解析法を考案した。
【研究成果の公表】研究課題及び関連課題について高分子学会年次大会(京都国際会議場平成5年5月31日--6月2日)において7件、日本化学会中国四国支部大会(高知大学平成5年11月6--7日)において2件、コロイドおよび界面化学討論会(東京理科大学平成5年10月9--11日)において1件、日本生物物理学会(名古屋大学平成5年10月12--14日)において6件の口頭発表を行った。さらに、次のページに記すごとく計5件の英文による研究論文を公表した。

研究成果

• [文献書誌] K.Ueda,H.Ochiai,A.Imamura,& K.Yamaoka: "An Observation of the Electric Birefringence Signal of Kappa-Carrageenan Gel." Chemistry Letters. 601-604 (1993)
• [文献書誌] M.Tanigawa,N.Mukaiyama,S.Shimokubo,K.Wakabayashi,Y.Fujita,K.Fukudome,& K.Yamaoka: "Molecular Weight Distribution and Intrinsic Viscosity of Sonicated and Successively Fractionated Double-Stranded DNA and Polyribonucleotides." Polymer Journal. 26. 291-302 (1994)
• [文献書誌] N.Ojima,K.Fukudome,& K.Yamaoka: "Determination of Molecular Weight Distribution and Spectroscopic and Viscometric Properties of Sonicated Triple-Stranded Polynucleotides" Polymer Journal. 26. 303-314 (1994)
• [文献書誌] K.Yamaoka,R.Sasai,& N.Ikuta: "Reversing-Pulse Electric Birefringence of Montmorillonite Particles Suspended in Aqueous Media." Chemistry Letters. (March Issue). (1994)
• [文献書誌] M.Tanigawa,K.Fukudome & K.Yamaoka: "Effect of Molecular Weight Distribution on Electric Field Orientation of Rodlike Polyelectrolytes Possessing Three Different Dipole Moments." Journal of Science of the Hiroshima University,Series A. 58(in press). 1 (1994)
• [文献書誌] K.Yamaoka,A.Ishida,I.Kosako & K.Ueda: "Conformations of Poly(1-alanine) in Solutions:A Study by Circular Dichroism,Absorption,and Reversing-Pulse Electric Birefringence." 5th International Conference on Circular Dichroism.Aug.18--22(1993),Pinbree Park,Colorado,U.S.A.(Abstrac). 191 (1993)