研究課題
本年度は、昨年度に引き続き次の資料収集・整理作業を行った。(1)既往の研究成果の文献を網羅した目録の作成と増補作業を行い、増補分のデータを入力して現状で研究文献809件の入力を終えた。(2)公刊されている平安時代の古記録等からの寝殿造住宅関係史料の抽出作業を、大日本古記録・史料纂集・増補史料大成等所収の古記録について行い、23冊を終了した。また収集史料の一部についてパソコンによるデータベース化を試みた。(3)発掘調査報告書の検索による寝殿造を含めた住宅関係遺跡の発掘成果の収集は、東北・関東甲信越・東海・北陸を完了し、近畿は和歌山・奈良を残して終了した。データシートは364件を作成し、データベース化は京都府150件(図面入)・東日本17県214件(図なし)を入力した。収集した発掘調査内容に関するデータは文字の入力のみならず、発掘調査の成果を視覚的に表現した遺構図等の図面類をスキャナーによってパーソナルコンピュータに取り込み、文字データとともにデータベース化する試みを継続し、平安京を中心として京都府について図面類150件を入力した。(4)(3)で行った住宅関係遺跡の発掘成果の収集作業に基づいて遺跡地名表の作成を行い、600遺跡をデータベースに登録した。本年度も上記の資料収集・整理作業に多大の時間と労力を費やし、また次年度以降においても本年度と同様の作業を継続しなければならない。一方研究作業としては上記の(2)(3)(4)の収集資料を研究分担者が個々の研究分担に従い分析作業を継続して行ったが、本年度も組織的な研究体制の構築が不十分で、研究会を開催することができなかった。この点については次年度において研究体制を建て直すとともに、古代史・建築史・庭園史・考古学等関連諸分野からの研究の総括を行ない、本研究の中心的な課題である寝殿造住宅そのものの研究とそれを支えた政治制度・儀式・社会経済的背景・生活様式・家族制度との関わりの解明などに努めねばならない。
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