研究課題/領域番号 |
02451005
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 英道 東北大学, 文学部, 助教授 (80000397)
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研究分担者 |
芳野 明 東北大学, 文学部, 助手 (10210741)
森 雅彦 宮城学院女子大学, 助教授 (90137612)
松本 宣郎 東北大学, 文学部, 教授 (60011368)
吉田 忠 東北大学, 文学部, 教授 (60004058)
鈴木 善三 東北大学, 文学部, 教授 (70004033)
岩田 靖夫 東北大学, 文学部, 教授 (30000574)
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キーワード | 天体表現 / 占星術 / 土星とメランコリ- / 大宇宙と小宇宙 / フィチ-ノ / ネオ・プラトニズム |
研究概要 |
芸術における宇宙観または総合的な自然観の表現を追求してきた結果、それが単に芸術における認識だけでなく、広く科学・哲学・神学などの影響が強いことが認識されるが、本年はとくにその「天体象」を中心に検討してきた。近代における天文学の発展と、宇宙に対する考察は、芸術表現のなかでは消化しきれぬ自立的な事実となっているが、しかし決して十全な説明はなされておらず、かえってその神秘性が増しているといえよう。その神秘性が、芸術表現のなかで具体的な図像表現を借りてあらわされてきた。古代からの星座像や、太陽・月に対する見方は、ある意味で近代の宇宙観ービッグバン現象やホ-キングの宇宙理論とは決して無関係ではないことがわかる。ホ-キングの相対性理論と量子力学との関係は、かつての天体学の人間との関係、大宇宙と小宇宙の照応に似ており、独立して論じられる問題ではないことが推測されるのである。クリバンスキ-、ザクスル、パノフスキ-の『土星とメランコリ-』は、天体と人間の気質の照応関係を論じ、それが芸術に与えた影響を17世紀にまで詳しく考察したものであるが、まさに天体と人間の関係を密接に論じることによって、芸術の表現となっていくことが理解されるのある。ユングは天体像から人類的記憶を引き出そうとした、クリステラ-、ガレンなどの「ルネッサンス思想家」はその占星術の生きた姿を、この時代の思想に見ている。トマス・アキナスの神学はアリストテレス的な天体観に依拠しているが、それを神の位相の強調によってキリスト教神学の枠組み込んでいるが、フィチ-ノになるとそのネオ・プラトニズム的な思想により「愛」の概念がそこに存在することが指摘され、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ,さらにラファエルロなどの美術にその影響が見られるようになった。まさに芸術において、総合的な宇宙観が表現されるようになったのである。
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