研究課題/領域番号 |
02451015
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962)
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研究分担者 |
吉田 敦也 大阪大学, 人間科学部, 助手 (50191573)
中澤 忠博 大阪大学, 人間科学部, 助手 (30214430)
中道 正之 大阪大学, 人間科学部, 助手 (60183886)
南 徹弘 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (40030043)
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キーワード | ニホンザル / 老年期 / 母性行動 / 睡眠 / 活動性 |
研究概要 |
野外集団における行動観察:ニホンザルの15歳から20歳代の後半までのメスは成年期の後半から老年期にあるといえる。ニホンザルの出産期である4月から7月までと交尾期である11月から翌年の2月までの2期間において、これらの個体の行動観察を行った。出産率は成年期後半のメスは老年期のメスに比べて明らかに高い。しかし、幼体を抱く、授乳する、毛づくろいするなどの積極的な母性行動においても、また、幼体から離れたり、威嚇したりして、母ザルからの独立を促すと思われる行動に顕著な差は見られなかった。交尾期における老年期のメスの行動は、成年期の後半のメスに比べて、発情を示す明瞭な行動(例えば、発情したメスに特有の音声)の頻度が少なく、また、発情と非発情の期間の区別が行動的に不明瞭であった。20歳を越える老年期のオスもメスとの交尾行動は観察されているが、その頻度はきわめて少なく、また、少数の限られたメスと性的な関係を維持する傾向を強く示した。 実験室における研究:個別檻の中で母子だけで飼育されたメスの養育行動を、メスの年齢を関数にして検討したが差はなかった。つまり、野外だけでなく、室内飼育事態においても、成年期後半からのメスの養育行動は極めて安定したものであると言える。赤外線カメラを用いて、72時間にわたり連続して、個別飼育されている15歳から30歳までのメスの活動性を記録した。加齢するほどメスの活動性が落ちるだけでなく、睡眠と覚醒のパタ-ンも異なる傾向が見いだされた。つまり、老年期のメスは昼間も軽睡眠の状態にあることが多く、逆に夜間に活動的ではないが覚醒状態になることが稀ではないと思われた。さらに、老年期のメスの中には、指や趾での対象操作能力に、硬さ、つまり柔軟性の欠如が生じ始めることも見いだされた。
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