産別組織における意思決定をめぐる状況について、分析から明らかとなった点について要約的に示すと次のとおりである。 まず、労働条件等をめぐる要求の策定、妥結の主要な機関、組織レベルは、要求策定に関して、基本的な労働条件事項と政策・制度要求は産別中央本部で主として作成される。個別的な労働条件に関しては、加盟単組と地方組織で作成される。交渉の妥結に関しては、すべての項目に亘り加盟単組が中心である。ただし、政策・制度課題だけは中央本部とナショナルセンターが決定の中心となる。 次に、日常の組織活動は、加盟単組と中央本部でもっぱら担われている。したがって、活動、交渉等の組合活動全体の重心は、中央本部と加盟単組に二分されて存在しているといってよい。 組合組織の運営に関して、合意形成と、そして組合員にとって真に役立っているという、本来の民主的運営を基礎としているという結果が得られた。ただし、組合の規膜によって個性が存在し、小規膜の組合では、労働組合が存在するからという依存関係が持徴的に見られ、大規模の組合では権限の委譲、具体的には委員長への委譲という考え方が広く存在する傾向が観察された。産別組織の存在理由が、組織成員規模の大きさによって異なっているわけである。 労働組合の組織としての成果は、労働条件をめぐる交渉、経営事項への影響力の側面において、組合の組織としての充実度、つまり組合員規模、地方組織の整備の度合い、執行機関の強さ、等と比例していた。労働組合運動において組織それ自体が重要な意味をもっている事があらためて示された。
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