研究課題/領域番号 |
02451024
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
徳永 恂 大阪大学, 人間科学部, 教授 (70027952)
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研究分担者 |
宮田 敦子 大阪大学, 人間科学部, 教務職員 (90157652)
杉山 光信 東京大学, 新聞研究所, 教授 (70092020)
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キーワード | フランクフルト学派 / 物神性 / ミメ-シス / 複製芸術 / 非同一性 / 同一性 / 映画 / ジャズ |
研究概要 |
今年度の計画で予定されてい芸術社会学の主要問題と根本概念に関しては、前年度に引き続き、フランクフルト学派の美学あるいは芸術批評の展開を、べンヤミン、アドルノを中心に立ち入った究明がなされた。徳永の東北哲学会・日本哲学会における口頭報告「小人と天使」(後1と2に分けてそれぞれの機関誌に収録)は、ベンヤミンの遺稿「歴史の概念について」のテキスト解釈をつうじて、芸術理論と社会理論とを結びつける接点としての歴史哲学を、その神学的背景にさかのぼって究明したものである。またベンヤミンの「複製時代の芸術」とアドルノ「音楽の物神的性格の対比を手がかりに、映画やジャズなど、大衆文化評価という面で、ベンヤミンとアドルノの間にある個性的な差異が究明された。アドルノとハバ-マスとの関連については、平成四年三月における大阪での記念講演会、札幌での思想史研究会での報告の中で伝統の継受と革新の問題が「ミメ-シス」の概念を中心に究明された。アドルノの中心概念としてのミメ-シス問題を、ハバ-マス流の解釈とは異なって同一性ではなく非同一性と関連させて考えようとする試みは、本研究の主要成果のトップにあげられよう。杉山はこれまでマイナ-の芸術分野と目されていた映画を、現代文明の今日の位相を知る素材としては、社会調査に匹敵するものとして評価し、具体的な個々の映画作品に即して社会的テ-マを読みとり、その意味の解釈を試みた。宮田は研究計画における芸術社会学の体系的な基礎づけに関し、エリアスの学際的方法についてのグライヒマンの研究などを翻訳紹介した。
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