研究課題/領域番号 |
02451027
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
忍 博次 北星学園大学, 文学部, 教授 (30078943)
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研究分担者 |
杉岡 直人 北星学園大学, 文学部, 助教授 (10113573)
白沢 久一 北星学園大学, 文学部, 教授 (20078950)
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キーワード | 在宅福祉サ-ビス / ケアシステム / ノ-マリゼ-ション / 高齢者 / 社会資験 / 地域福祉計画 |
研究概要 |
高齢化の加速と地域社会・家族の崩壊は過疎地の老人、とくに後期老年層や病虚弱老人に深刻な不安を与えている。われわれは北海道の農村、漁村、炭鉱閉山地域から5市町村を選択し、その地域における在宅ケアの実態を探ることから、在宅福祉サ-ビス供給のあり方を考察した。 65歳以老人の在宅ケアニ-ズは、家事的ケアが約10%程度、対人ケアが5%弱、社会的支援も5%弱であった。在宅福祉サ-ビスに対する認知度は20%程度で、しかも自分が依存状態になったとき、そのサ-ビスを利用しようと考えている人は10%台しかなく、在宅で家族による世話を期待する人が多かった。 在宅ねたきり老人・痴呆老人の介護者についてみると、介護者の半数以上が配隅者で、60歳以上の高年齢層が60%以上をしめていた。自由の拘束と疲労は甚だしいものがみられたが、在宅福祉サ-ビスに対する知識は乏しく、在宅福祉サ-ビスを利用しようとする態度は殆んどみられなかった。病院入院、特別養護老人ホ-ム入所中の家族もサ-ビス利用に対しては消極的で、精神疲労は軽減されていたが、半数はひきとりの困難性を訴えた。どちらの家族も背景に福祉サ-ビスの利用に対するスティグマが感じられた。地域住民も全体に福祉サ-ビスに対する認知度は低く、地域の福祉活動への参加も、募金やバザ-も除いて消極的であり、ノ-マリゼ-ションを目的とした福祉意識への転換は客易でないことを窺わせた。 しかしニ-ズは確実に増大し、福祉供給は整備されなければならない。ニ-ズの把握、アセスメントは緊急の課題であるし、社会資源の整備とサ-ビ供給のネットワ-ク化、福祉情報の提供、ケ-スマネ-ジメントなど地域に福祉の専門的機能を導入しなければならない。今後の研究は各地域の特性を類型化し、地域福祉計画へのモデルを作成したい。
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