研究概要 |
本年度は、有権者が選挙に際して、議員候補者の選挙運動にどのように接觸をし、また、候補者にたいしてどのような期待を持っているのかについて、全国調査デ-タを素材にして、時系列分析を行った。その結果は、1.60歳以上の男子有権者における選挙運動への接觸の増加が顕著に見られた。候補者にたいする期待という点では、変化は僅かであり、むしろ、政党支持態度が、60歳以上の男子有権者で顕著に強化されていることが認められた。日本の選挙制度の下でも、候補者指向から政党指向への変化の動向が認められる。2.但し他方では、20歳台の男性における政党支持態度の弱化が顕著である。この年齢グル-プでは、だからといって候補者指向が増加している訳ではなく、選挙運動への接觸や参加の低下、投票参加の低下が著しい。政治改革を目指す上で、20歳台の男性における候補者指向も政党指向もともに低いという事態は、深刻に考慮さるべきことである。3.女性有権者については、60歳以上の年齢グル-プでのまったくの無知識・無関心・低投票率の時期は過ぎ去り、投票率の向上は著しい。しかし、政党支持態度は依然として弱い。40歳台、50歳台の女性有権者では.候補者指向でも政党指向でも、男女差は縮小してきている。20歳台の女性では.候補者指向も政党指向もともに低いが、同年齢の男性に比べて,選挙状態の差に対応して、投票参加度、選挙運動への接觸、候補者指向の比重などの動揺がより大きいことが判明した。
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