平成3年度は、衆議院議員公設秘書(各議員に定員2名)にたいする郵送アンケ-トを実施するとともに、岡山、福岡、熊本の各地で、選挙区の社会変動とそれにたいする国会議員の認知と対応についてのヒアリング調査を行った。衆議院議員公設被書へのアンケ-ト調査のデ-タの分析は、平成4年度(最終年度)において引続き行う予定であるが、これまでの分析では、次のような諸点が注目される。1.公設秘書は、代議士秘書団の中では「表」の部分に從事しており、汚い「裏」の仕事はむしろ私設秘書が行っているといわれている。そのせいか、公設秘書の政治イメ-ジは、政治をそれほど汚いとは見ず、むしろ中間的である。2.他方、選挙の重要性については圧倒的な同意が見られるが、国会と政党の重要性への同意においては、職業政治家のはしくれとしては、やや低い。3.社会変動についての認知では、マス・メディアの影響力の増大が他を引き離して第1位に挙げられている。第2位は、女性有権者の活発化である。また、選挙の際に自発的に選挙運動を手伝う有権者が増えたという回答が、減ったとする回答よりも多い。他方では、代議士への陳情や依類が以前より増えた、後援会の維持に以前より手数がかかるようになった、という認識が、過半数の回答を集めている。要するに、いろいろな点で、有権者の活発化が認識されている。しかし、代議士の当落によって自分の地位と報酬源とを左右される代議士秘書としての立場では、政治改革との関連での最大の関心事は、選挙制度の変更である。
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