本年度は最終年度であるので、新たなデータの集収はおこなわず、これまでの研究成果の点検、データの分析の仕上げをおこなった。社会構造の変化については、政治との関連では、女性有権者の政治的関与の増大が改めて確認された。この点は、第1年度(平成2年度)のサーベイ・データの分析でもすでに明らかであり、第2年度(平成3年度)の衆議院議員秘書へのアンケート調査でも、選挙区での社会変動の筆頭に挙げられていた。本年度は、データの点検によりこの点を確認し、さらに、政治家やマスコミ関係者とのインタービューを通じても、確認した。しかし、女性有権者の政治関与の増大は、投票を超えたより積極的な政治参加(選挙活動への参加、さらには立候補)と直線的に結びつく訳ではない。いぜんとして、女性有権者の政治参加を阻む制度的障害が存在している。「抑制仮説」といわれるこのような障害の存在についてデータの再分析を行った。また、このような障害を除去するための方策、たとえば、立候補者についての「女性枠」(クォータ)を設けるというような発想についての意見聴取を行った。また、本年度は、その経費が国会議員の公設秘書を従来の2名から3名に増員する措置が具体化し、平成5年度予算に計上されるにいたったので、それについての衆議院議員公設秘書の意見を補足的に聴取したが、とくに野党サイドで歓迎の意見が多く述べられていた。
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