研究概要 |
平成2年度の研究に引続き,昨年度得られた資料の分析検討を行うとともに,大学学修士課程における教員養成の実情や,特殊教育諸学校教員の教職意識,教育委員会を対象にした現職教員の研修等について,調査研究を行った。 1.大学院レベルの教員養成 教育職員免許法の改正により,特殊教育関係の大学院修士課程,特別専攻科においても,新制度への対応が急がれているが、現状はまだ不安定要因が多く,質の高い専門教育科目が整備されたとは言えない状況にある。今後の前進が望まれるところである。 2.特殊教育教員の意識 児童・生徒の障害の重度化,多様化に併い,教員の意識にも微妙な影響が見られるが、全体としては、予想より安定した気持で教育に携っていることが明らかとなった。また盲,聲,養護学校の学校種別について教員の教職意識を比較した結果、相互にかなりの差が認められた。こうした教員の意識を,アメリカの研究と比較してみたが、わが国の教員の方が、むしろ安定した気持で障害児の教育に従事している傾向すら窺えた。なおこの問題については、オハイオ州立大学との連携により部分的に比較研究を実施し,第4回日米教員養成研究協議会(JUSTEC)において発表した(1991年7月)。 3.教員の研修について 特殊教育教員研修の在り方にも多くの問題があるが、研修の実情と,その基盤となる知識ベ-スについて調査を実施し,貴重な資料を得た。 以上のように,今年度は昨年度の研究をさらに拡大・深化させて,教員養成のあるべき姿を浮きぼりにし,ひいては特殊教育教員へ資質向上に役立つ指針となるべき数々の知見を得た。
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